内容説明
叔父の奸計によりさらわれた主人公は、18世紀英国政治史に深く関わる暗殺事件に巻き込まれ逃亡を余儀なくされる。その結末は?!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
64
あぁ、大きな地図を付けてください。切にそう思います。巻頭の小さな地図ではこの冒険の旅を辿れません、それが残念です。歴史冒険物語の傑作です。主人公デイビッドが父の死をきっかけに怪しい叔父を訪ねるところから長い旅が始まります。さらわれて船ヘ、破船、ゲール人の地を追われながら再度叔父と対決し財産を回復する。スコットランドでのジャコバイトの反乱を背景に、コリン・ロイの殺人事件を取り入れて波乱万丈な少年の成長、相棒との友情、さらわれた理由など見どころ充実の物語です。アランのその後は続編に続くようです。気になります。2022/01/13
たま
51
続編『カトリアナ』の翻訳が出たのでこちらを読んでみた。以前『さらわれたデービッド』なる題の訳を読み面白かったが(福音館だからリライトされていたのかも)、この本はスコットランド高地の地理と歴史が複雑なうえ、研究者的翻訳で読みにくい。もちろん主要登場人物のアラン・ブレックは素晴らしく、船上の戦いやバグパイプ競争が楽しい。スティーブンソンの描く人物はジョン・シルバーをはじめ本当に魅力的だと思う。そして結末の解放感と悲しさ。読者である私もアランのこれからを思い、歴史上人物である彼の幸運を祈ってしまうのである。2022/09/09
Э0!P!
6
オデュッセイアのごとき帰還を描く冒険譚だが、その過程でホイッグを敵視するジャコバイトの抵抗史を体感する傑作。2024/06/08
Hotspur
6
ロバート・L・スティーヴンソンの虚実織り交ぜた冒険物。18世紀半ばのジャコバイトをめぐる政治的騒乱が背景にあるが、これはフィールディング『トム・ジョーンズ』でも背景に使われていた。本作はプロット自体も充分に楽しめるが、一緒に逃走する主人公デイビッドとアラン・ブレックとの兄弟のような関係の他、なんと言っても作者のスコットランドに対する共感がもたらす地理、言語、風俗の描写が素晴らしい。特に氏族関係が重きをなすハイランド地方の社会慣習や、訳注の原綴に示されるゲール語の名残を残す地名など、読んでいて実に愉しい。2022/06/17
takeakisky
2
幼少の頃読んだはず。表紙の画が思い浮かぶから。面白くて一気に読んでしまった。ちょっと前に読んだウェイヴァリーより面白い。スコットランドにセンチメンタルな面を見るスコットに対し、スティーヴンスンは大分現実的。大人が読んでも十分愉しめる。カトリアナも続けて読みますか。ガーディアンの英語で書かれたベストノヴェル100。2023/07/15




