内容説明
言葉にならないものを「心の耳」で聴くために
いくら華麗な言葉を並べても、本当のおもいが伝わるとは限らない。
うまく語ってはならない。
文字にならない、消えない熱を伝えなければならない。
――詩を書くこと、耳を傾けること、祈ること。
自らの体験に照らしつつ、言葉の向こう側に広がる沈黙の意味に迫るエッセイ集。
かつてないほど言葉が軽んじられる時代に、批評家が問う「沈黙の秘義」。
【目次】
Ⅰ.詩について
Ⅱ.言葉の終わるところで
Ⅲ.信じるということ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
99
最近の若松先生は、自らの創作を含め詩を扱う文章が多い。本書の第1章も「詩について」だが、詩(というより韻文全般)に全く適性のない私には、理解は十分ではない。後半の「信じるということ」がいい。「NHKこころの時代「それでも生きる コヘレトの言葉」(小友聡先生のユニークな一冊!)に投稿された文章の引用だが「ヨブの敬虔すら、神からの愛によってもたらされているように映る」と言える若松先生の信仰の強さが羨ましい。言葉への感性鋭い先生が、敢て「現代人は言葉を多用するあまり沈黙の働きを見失っている」と問う意味を考える。2021/10/09
KAZOO
96
若松さんの本はいつも何かを与えてくれます。この本では大きく分けると、詩について、言葉の終わるところで、信じるということ、の3つの章に分かれてそれぞれ楽しい話が収められています。「詩について」では様々な詩人の詩について論じられていますが、私の好きな歌手の中島みゆきさんの詩について論じられていてびっくりしました。また「言葉の終わるところで」ではミヒャエル・エンデの「モモ」についても論いられていました。「信じるということ」では「聖書」の読み方が印象に残りました。2023/06/14
宵待草
53
随筆家・批評家の若松英輔さんの著書を読むと、敬愛する松岡正剛さんに次いで、何時も読後の付箋やメモ書きが残されるのです。 此の『沈黙のちから』はあとがきに記される『言葉にならないものを「心の耳!心耳(しんじ)」で聴く』 『自己と時と沈黙が一つになるとき、何かが起こる』 『何かを語ろうとする前に沈黙する事』 『沈黙を強いられる場所に身を置くことの重み』、、、私の心の奥に静かに深く染み込んだ言の葉! 頁13『詩歌は生活と人生の告白であり、祈りである 真に告白するとき、人はどこかから 、、、コメントへ続く 2021/10/06
なおみ703♪
16
マイブーム若松英輔。沈黙や余白を意識して大切にしようと思った。心耳で聴いて読んで味わいたいと思った。「場がなければ絵を描くことができないように、沈黙がなければ音楽を奏でることはできない。空間がなければ彫刻を置くことができず、香りが舞うこともない。色、音、香りなど私たちが感覚するものは全て、余白によって包み込まれている。宮沢賢治に「無声慟哭」という詩がある。天空を揺るがすほどの声になるはずの慟哭なのに、声にならないというのである。言葉にならない慟哭を、賢治は余白と沈黙というコトバによって歌いあげた。」2021/10/28
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
16
出版社主催の若松さんのZOOM参加権と一緒に書籍を申し込んだのに、仕事で間に合わなかったという(号泣)。言葉以外のものとしてメラビアンの法則など引き合いに出すなど、それこそわかりやすい形に縛られている証拠であろう。言外のものがあるということ、それは現時点では言葉にできないもの、しかし真剣に伝えるためにはそれを言語化しなくてはいけない、という思いを伝えるためには沈黙を乗り越えて言葉を磨き上げることが必要であると腑に落とした。しかしフォントが美しい。これこそが文字以外、文字以上に訴えかけてくるものであろう。2021/09/06
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