岩波ジュニア新書<br> 野生動物と共存できるか - 保全生態学入門

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岩波ジュニア新書
野生動物と共存できるか - 保全生態学入門

  • 著者名:高槻成紀
  • 価格 ¥1,199(本体¥1,090)
  • 岩波書店(2021/10発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 300pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005005369

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内容説明

ラッコが駆除された.貝やカニを食べて漁業に被害を与えるという理由だったが,増えると思った漁獲量が減った.なぜ? 怖いクマや爆発的に増えるシカと,ほんとうに共存できるのだろうか.絶滅危惧種はどうすれば守れるのか.いま,新しい学問・保全生態学がさまざまなチャレンジを試みている.

目次

はじめに┴1章 いま野生動物にこんな問題が┴1 生物が消えていく メダカ┴2 人の空間に出没する ツキノワグマとサル┴3 爆発的に増えて生態系をこわす シカ┴4 外来動物が生態系を変える ヤギ、マングース┴5 複雑な生きもののつながり ラッコと漁業被害┴2章 絶滅はなぜおきるのだろう┴1 絶滅の例┴2 絶滅の意味┴3 絶滅の背景にあるもの┴4 絶滅させないための努力┴3章 保全生態学が野生動物をまもる┴1 保全生態学への動き┴2 生態学の考え方┴3 保全生態学の考え方┴4 生物のつながり┴4章 保全生態学のじっさい 私たちの研究から┴1 シカ研究が原点に┴2 モンゴルでモウコガゼルの保全をさぐる┴3 渡りのルートを調べて渡り鳥の保全につなげる┴5章 野生動物問題の解決に向けて┴1 クマ問題は科学的な体制づくりから┴2 サル問題は殺さないで解決を┴3 シカ問題は増えすぎを防ぐ┴4 外来種問題は社会全体で未然に防ぐ┴6章 野生動物をどう考えればいいか┴1 ところ変われば人の考えも変わる┴2 オオカミのこと 神か悪魔か┴3 生物保全に必要なものは┴4 人間中心ということ┴5 さまざまな価値観┴6 アイヌ民族の民話┴7 真に豊かであるということ┴8 野生動物の価値┴あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

372
副題に掲げられている通り、本書は保全生態学の入門書。しかも、あえて岩波ジュニア新書に書き下ろしているのは、未来の地球を背負う若い人たちに読んでもらい、知ってもらうため。さらに、本書の印税はスリランカの津波(2004年)被災孤児の教育支援の「ゾウさん基金」に使われるそうだ。こうした様々なところへの配慮は、まさに保全生態学の在り方を端的に表している。我々人間も、そして動物たちも(もちろん植物や昆虫たちも)単独では絶対に生きられない。相互の深く複雑な生態系の中に生きているのである。環境問題の入門書としても推薦。2021/07/24

マリリン

47
ゾウの話は視点を変えて観る事の大切さを痛感。住宅街にクマが出没、山林を食い荒らすシカ、過疎化した地域の人里を徘徊する野生動物等の話を聞き、疑問や対策はないのかと思っていたので、実情と保全生態学の観点からみた人と野生動物・植物の関連を知ることが出来た。どこまで人の手を加える事が許されるのか...という漠然とした疑問にも光を見た。「ナゲキバト」を読み何となく感じたが、生きていくのに大切な事は自然と接し、生き物や植物を好きになる事で学べるのかなと思った。モウコガゼルと小笠原諸島のヤギの話が特に興味深かった。2021/08/31

ケディーボーイ

28
「犬が好きなこととパンダを好きなこととは何がどう違うのか、恐竜の絶滅とアマミノクロウサギの絶滅とは何が違うのか、同じ野生生物なのになぜトキは守ってシカは駆除するのか」等々、具体的な事例からなぜ保全生態学が重要なのかを説明してくれる本。 一つの種が様々な要因と共に成り立っている事を再認識。 もはや人の手を加えないと絶滅を止められない種があるなら加えざるを得ない。 しかしよかれと思った事が裏目にでる事も多々ある。 そうならないためにも保全生態学を用い、多角的な視点をもって問題に取り組んでいかなくてはいけない2022/01/04

Shoko

17
熊出没のニュースをよく見る。昨年、実家の裏庭にも熊が出た。父親が趣味でする養蜂の巣箱を狙ったものらしい。部屋の中から見つけて、音を立てたら、驚いて逃げていったそう。市に連絡して電気柵をつけてもらい、外に出る時は熊鈴を鳴らしながら、という生活がしばらく続いた。「保全生態学」という学問のことを初めて知る。野生動物は長い時代を生き抜いてきた歴史的存在であり、それがこの150年の間にこれまで全く経験したことのないスピードで絶滅しており、その原因が我々人間の活動にあるということ。共存の道を探るのは人類の至上命題だ。2024/06/14

やま

15
熊の話、鹿の話、猿の話、ヤギの話は日本での話。熊は人を傷つけたりするので話題になるが、むしろ鹿のほうが被害が深刻というのは、山登りをしていてよく話を聞く。実際に鹿の背丈のところの木々がかじられたりして森の保全ができなくなっているそう。◇そして、何か一つを保護してもダメで生態全体を保護しないと意味がないというのも本当によく理解できる。ヤギの話では1頭残らず駆除したそうだ。そうしないと保全できないからと聞いて人がうかつにやったことの付けを払うことがとても大変なことだということを理解。→2021/09/10

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