内容説明
ラッコが駆除された.貝やカニを食べて漁業に被害を与えるという理由だったが,増えると思った漁獲量が減った.なぜ? 怖いクマや爆発的に増えるシカと,ほんとうに共存できるのだろうか.絶滅危惧種はどうすれば守れるのか.いま,新しい学問・保全生態学がさまざまなチャレンジを試みている.
目次
はじめに┴1章 いま野生動物にこんな問題が┴1 生物が消えていく メダカ┴2 人の空間に出没する ツキノワグマとサル┴3 爆発的に増えて生態系をこわす シカ┴4 外来動物が生態系を変える ヤギ、マングース┴5 複雑な生きもののつながり ラッコと漁業被害┴2章 絶滅はなぜおきるのだろう┴1 絶滅の例┴2 絶滅の意味┴3 絶滅の背景にあるもの┴4 絶滅させないための努力┴3章 保全生態学が野生動物をまもる┴1 保全生態学への動き┴2 生態学の考え方┴3 保全生態学の考え方┴4 生物のつながり┴4章 保全生態学のじっさい 私たちの研究から┴1 シカ研究が原点に┴2 モンゴルでモウコガゼルの保全をさぐる┴3 渡りのルートを調べて渡り鳥の保全につなげる┴5章 野生動物問題の解決に向けて┴1 クマ問題は科学的な体制づくりから┴2 サル問題は殺さないで解決を┴3 シカ問題は増えすぎを防ぐ┴4 外来種問題は社会全体で未然に防ぐ┴6章 野生動物をどう考えればいいか┴1 ところ変われば人の考えも変わる┴2 オオカミのこと 神か悪魔か┴3 生物保全に必要なものは┴4 人間中心ということ┴5 さまざまな価値観┴6 アイヌ民族の民話┴7 真に豊かであるということ┴8 野生動物の価値┴あとがき