内容説明
お母さん、聞こえますか?
私はこうして生きています。
幼少期、海外養子縁組に出されたナナは、フランスで役者兼劇作家として暮らす。
そんな彼女に突然、人生を変える2つの知らせが届く。
別れた恋人との間に子どもを妊娠したことと、韓国から来た、自分の人生を追ったドキュメンタリー映画への出演依頼と。
生みの親を知らないナナは、生まれてくる子どものためにも自分が“誰なのか”を見つけようとソウルへ向かう。そして、思いもしなかった人たちとの出会いから、35年前、駅に捨てられた暗い記憶の糸が少しずつほぐれていき……。
海外へ養子に出された子どもたち、米軍の基地村で生きた女性たち……。
現代韓国の歴史の中でなきものとされてきた人たちに、ひと筋の光を差し込む秀作長編小説。
第27回大山文学賞受賞作
韓国系国際養子のルーツ探しというこの小説の「特殊な」主題が、日本の読者の方々に「普遍的な」ものとして届くようにと、そして誰かがこの作品を読んでいるとき、生命への尊重や人と人との絆への信頼という明かりが灯ってくれたらと願っています。(「日本の読者のみなさまへ」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒデミン@もも
53
韓国で国際養子が多いという事実さえ知らなかった。主人公は自分のアイディンティを確かめるため故国に。物語なのにノンフィクションを読んでる気分になったのは訳が秀逸だからもある思う。2021/10/24
アマニョッキ
50
ちょっともう言葉がない。この作品を翻訳してくださったオ・ヨンアさんに感謝しかない。とにかく読んでみてほしい。そしてあなたの隣にいる大切な人を抱きしめてあげてほしい。もし抱きしめられないくらい遠くにいる人ならば、思い出して、声に出して、忘れないでいてほしい。100年待ってても出会えないくらいの1冊。2022/06/06
星落秋風五丈原
37
韓国ドラマにもよく出てくる国際養子の話。正体をわからなくするためにアメリカに養子にいくというストーリーがよく出てきたがいいことばかりではないようだ。2021/10/15
ケイトKATE
31
最も近い外国なのに、韓国について自分が知らないことが多いことに気付かされた。海外養子としてフランスで育ったナナは、ドキュメンタリー映画出演のために韓国へ帰国し、自分のルーツを探しに行く。途中、ナナは偶然立ち寄った食堂のおかみポクヒと知り合う。ポクヒは、かつて保護した少女を海外養子に出したことがあった。韓国では、朝鮮戦争後、アメリカ軍兵との混血児を海外へ出すことが続いていた。読んでいて、貧しい女性や子供たちへ偏見の激しい韓国社会の中で、懸命に生きる女性たちに幸せを願わずにはいられなかった。2024/04/04
みわーる
24
2回、読んでみた。それでもまだ読みが浅く、深い井戸のようなこの小説の底に足が届かない気がする。韓国の国際養子縁組を背景にした物語だ。捨てられる命、貶められる命が人間とは何かを問うてくる。作者が日本の読者へ向けた言葉で「私は、この小説を書いている間中、光の採集者だった~」と語るところで、声を出して泣きたくなった。見捨てられた幼い人生を助ける手、慈しむ手が随所に書き込まれており、暗闇が支配する世界のなかで、それらがチカチカと瞬く小さな星のようだ。やがてその星々がラスト,天の川のような光の大河になるのが見えた。2022/07/16