内容説明
──植物は嘘をつかない
植物は優しい。どこまでも優しい。
植物に囚われる、この病は人々の救いなのかもしれない。
樹木医である雨宮芙蓉は、心療内科医の朝比奈匡助の依頼で、奇妙な仕事をしていた。それは寄生植物病(通称・ボタニカル病)、つまり植物に寄生されるという未知の病に罹った人々を診察すること。さまざまな植物に寄生された患者たちを治療するために、患者たちの持つ苦悩に向き合い、耳を傾ける芙蓉。しかし、この病には大きな謎が潜んでいた──。
朝宮運河・解説/丹地陽子・装画
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
71
植物が人間に寄生する病ーボタニカル病。ボタニカル病を研究する医師をサポートしている主人公・芙蓉は樹木医。春夏秋冬、4人のボタニカル病の人と出会う。珍しい病ではあるが、その病を抱える人の心の悲しみは現実的で感情移入しやすい。植物の美しさと同時に得体の知れない怖さを感じるのだが、その訳は最後まで読んだ時に全てが解る。美しさ、恐怖、悲しみの物語。2021/08/20
coco夏ko10角
25
樹木医の雨宮芙蓉は知り合いの心療内科医の依頼で寄生植物病の人を診察することがあり…。著者の本は十冊以上読んでるけど、これが一番好きかも。寄生植物病の使い方とか作品全体の雰囲気とか…。秋ノ章が特に面白かった。芙蓉自身のことは予想が外れた。普通の会話の場面でもどこか陰がある感じとか植物のことが明らかになっても哀しみが滲んでる感じとか、花の描写とか。良かった。2022/07/14
あっちゃん
20
植物に寄生されるボタニカル病、春夏秋冬を各章に据えてホラーミステリーというよりファンタジーミステリー!変わった植物が出てくる中で山荷葉に興味津々(笑)写真を検索すると本当に透けてる!ラストも含めて全体的に霧の中にいるような内容( ̄ー ̄)2024/07/14
ふるい
8
樹木医の女性・芙蓉が、植物に寄生されたボタニカル病の患者の治療のため、謎を解いていくストーリー。巡る季節の中で芙蓉自身が抱える秘密も明かされていく。特に「秋ノ章 最後の花の宴」は、山中で道に迷った芙蓉が辿り着いた老婦人の家で歓待を受けるが、どこか違和感が…というホラー仕立てな話でよかった。どこまでも優しく寄り添う植物に蝕まれてしまう患者と、それを見守る人々の悲しみが滲む物語でした。2021/09/10
紅羽
6
樹木医の雨宮芙蓉が特殊な病、ボタニカル病にり患した患者と向き合う連作短編集。ボタニカル病というのは実際にない病気ではあるけれど、その独特な症状を通して植物と人の関わりを改めて考えるきっかけになりました。2025/04/04
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