内容説明
コロナ禍の今、日本は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故以来の国家的危機に直面している。この歴史的な国難に対して、当時首相であった安倍晋三と菅直人はどのように対処したのだろうか。危機に際して国民に何を語り、国民をどう守るかは政治家の最優先事項であり、時の政府の姿勢は、国民に対する本音を浮き彫りにする。安倍元首相は常々、民主党政権を「悪夢」と呼んでいたが、はたして安倍政権は菅直人政権をこんなに非難できるほど優れていたのか。そこで、両者の「危機の認識力」「国民への言葉」「権力の使い方」「補償」など個々の対応を徹底比較し、危機における、あるべきリーダーシップを考察。最後に安倍政権を引き継いだ菅(すが)政権のコロナ対応も評価する。10年前の記憶・記録を掘り起こすことで、今の自民党政権の“実態”が明らかになる!
目次
はじめに
第1章 危機をどう認識したか
第2章 国民の権利と義務をどう扱ったか
第3章 国民に何を語ったか
第4章 国民をどう支えたか
第5章 政治の責任をどう取ったのか
終章 歴史の検証に耐えられるか
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Risuke Koshiba
14
安倍政権と菅直人政権の非常事態の際の対応が比較されており、安倍政権(および菅義偉政権)の評価については批判に終始している。安倍政権の良いところも記述されていれば、公平な観点からみていることが分かり、もっと良い本になったと思う。2024/11/25
バーバラ
10
菅直人首相と安倍晋三首相がそれぞれ東日本大震災とコロナ禍という日本社会が体験した未曾有の危機に際して執った行動を比較した本。際立つのは被害を最大限に想定し国民の不安ややり場のない憤りに寄り添い続けた菅氏とコロナが社会に与えたダメージを過小評価し国民に対する補償を渋りついには政権を投げ出してしまった安倍氏の違いだ。菅氏とて無謬ではなく批判されるべきところもあった。しかし全責任を背負って直面する危機から逃げず震災と原発事故に立ち向かった菅氏と安倍氏ではリーダーとしての器が違いすぎると改めて思った。2023/08/23
どら猫さとっち
9
東日本大震災の最中の管直人、新型コロナ禍の最中の安倍晋三。この二人の首相は、非常事態のなか何を導き、国民に印象づけたのか。二人の政権を検証して、首相またはリーダーの在り方を問う政治論。改めて、自民党の安倍・管政権の狡猾さがあまりにも露呈して気が滅入る。民主党も批判はあったが、非常事態のなかでのやるべきことはやった。本当のリーダーとは何か、本書を読めば自ずとわかるはずだ。2021/10/23
hideto
8
2011年に起こった東日本大震災、2020年から始まったコロナ禍。ともに日本を揺るがし、大きく世の中のあり方を変える出来事に直面した際、時の首相がどう対応したかを比較し、問う内容。「なんて面白い視点なんだろう。」と思い、興味をもったので読み始め。思い起こせば東日本大震災の時の政府の対応は、当時としては納得いかず、不満に思うことも多々ありました。しかし、今のコロナ禍の対応と比べてみると、随分マシに思えるのが不思議なところ。これから数年経ち、コロナ禍の政治がどう評価されるのか、注目したいです。2022/02/01
ponnnakano
6
菅直人は前例の無い危機に、原因は自分になくても責任は自分にあると考えて対処したと思います。批判を受けるのが確実と分かってても記者会見をし国会を開いた。国民のためにやらなきゃいけないことがあるから。安倍晋三は責任は感じるもので取るものでない(しかも本当は感じてもいない)という無責任さを最大限発揮。批判を受けるのが嫌で会見はしない、国会も開かない、嫌になったら勝手に辞めて気が向いたらまたやろうとする。失敗は国民のせい成功は自分のおかげ。菅直人は人としても政治家としても真っ当で、安倍はってもう書いてて嫌になる。2022/03/16