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内容説明
この人物を知らずして幕末史は語れない! 将軍継嗣問題、土佐勤王党の弾圧、大政奉還……。第一人者が描き出す幕末維新史の決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
13
山内容堂の評伝。著者は容堂の見識、とくに早いうちから立憲政体の構想を抱いていた部分を高く評価している。一方で実務家としてあまりに粘りに欠ける姿勢など、欠点についても指摘する。薩長とは一線を画したスタンスでかつ熱烈な慶喜推しだった容堂が提案したからこそ、大政奉還は徳川慶喜に容れられた。容堂の独自のポジション取りが奏功した好例であるが、同時にそこから慶喜中心の新たな政体まで周旋できないところが、また限界か。「勝者の中の敗者」という評がなんともしっくりくるところ。ただ晩年まで寂しさは感じない気風の良さが救い。2025/01/02
ジュンジュン
10
容堂の評判は芳しくない。薩長に比肩できなかったのは、彼がチャンスに見逃し三振を繰り返し、土佐勤王党を弾圧した事が影響しているらしい。そんな彼を、著者は積極的に評価しようとしている、曰く、開明的な、英邁な君主だと。ほんの少し天の時を得なかっただけだと。500pを超える熱量には敬意を表するが、残念ながら僕の結論も芳しくない。開明”的”かもしれないが、真に開明とは言えない。英邁かもしれないが、あくまで藩主の枠内での事。山内容堂、所詮封建領主。勝者になったとして、はたしてドラスティックな改革ができただろうか?2022/03/04
筑紫の國造
8
幕末の「四侯」として知られる、土佐藩主山内容堂の評伝。一般的には、司馬遼太郎の「酔って候」などが有名だと思うが、本書は研究者によるだいぶ分厚い伝記である。本書を読むと、容堂が大酒飲みで豪快な一方、大事な場面で歴史の転換点で主役を果たせなかった事がよく分かる。幕末の人物としては、優れた見識の持ち主でもあった。著者による定説に対する疑問の提示も興味深く、ありきたりな幕末史にはない魅力を感じる事ができる。ただ、時折やけに砕けた表現が挟まれるところなど、読んでいて違和感を感じる箇所もある。2022/02/08
Go Extreme
3
知られざる「いと面白き」人物 青年藩主の誕生:ペリー来航 吉田東洋と藩政改革 将軍継嗣問題:松平春獄 一橋派の敗北 桜田門外の変と容堂:処士横議の時代 大原勅使派遣と幕政改革 三条勅使と攘夷運動 将軍上洛と参預会議:文久政変の発生 参頂会議の開催 土佐勤王党の弾圧:禁門の変前夜 長州藩の敗北 土佐藩の路線転換:富国強兵策の採用 四侯会議と帰国:兵庫開港問題と長州藩処分問題 土佐藩の建白路線 王政復古クーデター:政権返上に対する賛否両論 小御所会議:なぜ再開後に沈黙したのか 会議後の容堂 明治初年の山内容堂2021/11/14
katashin86
2
容堂公の評伝であり、土佐からみる幕末政局史としても楽しめる、流石家近先生の著書。幕末期の特徴は何といっても数百年領地で沈黙していた外様雄藩の飛躍だが、さほどの大国でもない土佐の国持大名が、幕末において「雄藩」大名となっていることの不思議を改めて考えてみたくなった。2022/04/14




