内容説明
群像新人文学賞から現れた、揺らぐ時代の表現者。第63回群像新人文学賞優秀作を受賞した「四月の岸辺」と、それに連なる飛躍作「導くひと」を収録する第一作品集。
「四月の岸辺」評より――
「この小説でしか表せなかったなにかが読まれてほしい、この先を書いてほしいと思った」柴崎友香氏
「マイノリティであっても非マイノリティと同様に平穏な日常生活もある様子を丁寧に描きつつ、マイノリティ同士でもどちらかが加害者になってしまう瞬間を厳しく捉えた、たいへん頼もしい小説」松浦理英子氏
「導くひと」評より――
「信心とは洗脳の牢なのか、篤信と狂信の境は。入れ子構造を折々に反転させる語りが固定観念を揺さぶる。デビュー作からの大脱皮だ」鴻巣友季子氏(朝日新聞「文芸時評」2021年4月28日)
これは、つづきの物語。
「四月の岸辺」:三人の従姉妹たちと暮らす「私」は、スカートをはいて通った小学校を卒業し、ぶかぶかの詰襟を着て中学校に通い始めた。みずからを「森の子ども」と呼ぶクラスメイトの少女と、ささやかな交流が始まるが――。
「導くひと」:テロ事件を起こした教団を離れ、東京からひとり山梨の集落に移住した男は、子ども時代を「森の共同体」で過ごしたという青年と出会う。彼の眼はあまりに澄んでいた――。
目次
四月の岸辺
導くひと
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかだ
31
これは厄介だな。もうホント、相性の問題かもしれないけど私には分かんなかったっす。もう誰が、何を言いたい話なのか…。宗教の話?でもない感じがするし、宗教に絡む人の近くにいる人の話?だとしても漠然としてて、どう捉えていいのか分からない。簡単に捉えるなって事?なんでも簡単に分かったような顔して語ったらアカンで、って 事?とりあえず薫はその後自分らしく生きることが出来ているのかな?それだけ気になった。一文がクソ長いのがホントもう、超苦手。2022/12/28
Y.Terminator
6
群像新人文学賞優秀作とのことで読んでみました。「四月の岸辺」と「導くひと」の2話が掲載されています。 「四月の岸辺」は超一人称な書きっぷりが難解で、物語がなかなか頭に入ってきませんでした。「導くひと」の方が文書としての吸引力があり終盤は一気読みしてしまいましたが、何を伝えたいのかがなかなか理解できない物語でした。 群像新人文学賞と本屋大賞を一緒にしてはいけないな、と思いました。もちろん作品によりますが、新人文学賞の本を読むには時に娯楽ではない物語に挑む気持ちが必要な時があります。2022/09/13
hirayama46
5
はじめての湯浅真尋。群像新人文学賞の優秀賞の表題作と、地続きの設定を用いた「導くひと」の2編を収録。表題作における句点を最小限にした息の長い文章や、主人公のトランスセクシャル的な設定が有効活用されていたかどうかがやや悩みどころです。「導くひと」は読みやすく、なかなか楽しく読みましたが、表に立っていなかった語り手がラストになって急に存在感を出してくるあたりのアンバランスさが気にかかりましたが、もしかして気づいていないリンクがあったのかな……。難しいところです。2022/01/14
JUN
5
独り言みたい。 無機質な何もない場所で再読したい。2022/01/04
k.inoue
2
湯浅真尋2021作、群像新人文学賞優秀作だが、薫という中一の性不一致の男の子が主人公、いたずらに長い文章にしているのはどんな意図なのか不明。さして150ページの長くない小説なのに読破に時間がかかったのは感動があまりなかったからか。2022/05/16
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