内容説明
すぐには、死ねないぜ。
窃盗の罪で横浜刑務所横須賀刑務支所に収監されていた利根太作は、身柄引受人の保護司が見つかったことで仮釈放された。社会復帰後は、保護司の娘・小海友紀が営む辻堂のレストランを住み込みで手伝うことになる。
友紀の同居人である阿久津晴也は、窓際警官“ごんぞう”として鳩裏交番に勤務する傍ら、立件しづらい家庭内暴力や性虐待の加害者を、“毒”をもって殺さず粛清していた。利根が見込まれたのも、窃盗のスキルを期待してのことだったのだ。
「盛り盛りの毒が全開!」
--相場英雄氏(作家)
「現代の黙示録」
『震える牛』の著者が震えに震えた
危険極まりない悪童警察小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
168
『危険極まりない悪童警察小説』と帯にある。色んな毒が出て来て化学のお勉強のようではあるが、私は面白く読んだ。酷くて、嫌な事件なのに・・だけど行政も警察もすぐには動かない。誰かお願い!大っぴらには出来ないけれど、「月に代わってお仕置きよ」な感じが私は心地よかった。毒に耐性のある特異体質の警官・阿久津。表の顔はやる気のない警官なのだが実は・・これは続きが読みたくなるなぁ。2022/04/13
タイ子
91
前作の「G.A.P」の鳩裏交番に勤務する阿久津警官。彼もまたごんぞうと言われるやる気のない警官の1人。阿久津は裏の仕事がある。武器は毒、毒の種類の多さに驚く。阿久津が相棒に選んだのは窃盗容疑で出所仕立ての真面目な男(真面目か?)・利根青年。幼児虐待の両親から子供を救うため仕掛ける罠。娘に性的虐待を続ける継父への報復。どちらの虐待シーンも読んでいてツライ。どんな毒薬でグウの根も出ない程お仕置きをするのか小説だから許せる、スカッとする。阿久津の特異体質も一役買って面白い。阿久津と利根コンビ、また読みたい。2022/02/27
さっこ
73
佐野さん初読み。前作「GAP」とつながっていると知らずに読んだけど、無理なく読めました。窃盗の罪で収監されていた利根と、鳩裏交番に勤務のごんぞう警官、阿久津と一緒に児童虐待や性暴力の加害者を成敗していく物語。「毒」警官ってそういうこと⁉とちょっとびっくり。最後も丸く収まってよかった。「GAP]も読んでみようかな。2022/03/03
ren5000
52
ちょっと非現実的ではあるけど毒を使って立件できない事件や虐待などで苦境に立つ者を救う。個々の事件のストーリーは捻りもくもうちょっと緊張感があればと思ってけど毒警官の相棒の利根くんの再生も含めて面白かったかな2022/03/05
ゆかーん
50
毒を以て毒を制す…。警察官でありながら、薬物中毒の特殊な体質を持つ男。彼は、自分の所有する毒を使って、闇に埋もれる青少年の犯罪を成敗していきます。大人の高圧的な態度にビクビクしながら生きる子供たちを想像しながら読むことは、胸が苦しく辛かったのです。でも、毒警官の阿久津が、必殺仕事人のように犯罪スレスレの行為で犯人を成敗する姿は、スカッとした気持ちになりました。「毒は薬、薬は毒」、使い方によって毒も薬に変わる事ことがあるのだと思うと、禁固刑よりも、もっと妥当な刑罰が良いのではないかと考えさせられます…。2022/01/24