内容説明
江の島に「ねこもりさん」と呼ばれる女たちがいた。それは島の猫の世話をするという、とある食堂の隠れた仕事。 1912年のすみゑ、1967年の筆、1988年の溶子、そして2017年の麻布。一家の女たちが、ねこもりとして生きたそれぞれの人生は、新しい命を結び、未来を繋いでいく。あなたの血にもきっと流れている、百年の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
469
前回訪れた江ノ島の風景が忘れられず。構成が面白くて(時代を行ったり来たりしながら)江ノ島で食堂を営みつつ島の「ねこもり」として生きた女系家族四代、彼女たちの物語。そのやさしい内容と、ラストの風呂敷のたたまれ方に思わず嘆息が出てしまう。初読み作家さんだったが大当たり。江ノ島と周辺の土地勘あると、二倍は楽しめると請け合っておく。2022/01/09
ちょろこ
130
100年、の一冊。想像以上に良かった。江の島の食堂を舞台に4世代の女性達の時が、100年の時が紡がれていく物語。どの時代の女性達も家族を、大切な人を通じて自分を見つめていく、命の繋がりを感じる、それが時に静かに時に強く伝わってくるのが良かった。中でも荒々しい溶子の存在が良いスパイス。抱えていた苦しみを吐き出し、心通じる瞬間は涙なしでは読めない。そしてこのラストの紡ぎ方。壮大な時、命の輝き、導きを感じた。人は助け助けられ、時を繋いでいくんだね。猫達がこの時をずっと見守っていたかのような温もりも感じる物語。2022/02/19
mocha
97
にゃんこまつり2019☆食堂「半分亭」は代々ねこもりの家系。四代100年にわたる女性たちの物語。時代が移り変わると共に江の島の有り様も女性の生きかたも変わるけれど、半分亭は猫と人に助けられて商売を続ける。猫達のコミュニティもそこにあり続ける。「ねこもり」は猫を守るというより猫に守られているように思えた。女系には脈々と受け継がれるものが何かしらありそうな神秘性を感じる。そこが猫と合い通じるのかもしれない。2019/02/23
みかん🍊
97
感涙しました、何代にも渡っての人と人の縁それを見守る猫たち、江ノ島で代々食堂を営む家の女性は代々ねこもりをしてきた、それは江ノ島に居残るための言い訳かもしれない、人は誰しも軽重や法に関係なく何らかの罪を背負って生きている、人を傷つけたり、頼って迷惑をかけたり助け合いながら生きていく、猫とお客さんに助けられてつづいてきた店、女四代100年の奇跡の物語です。2017/05/30
イスタ
95
名取さん、初読み。読友さんのレビューに惹かれて。良かった!江の島も猫も好きな要素が満載で。江の島の百年続く食堂の女主人&ねこもりに纏わる物語。特に溶子の章が好き。江の島、また行ってみたくなりました。猫に会って江の島丼食べたいな。2022/03/21
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