子どもと哲学を

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子どもと哲学を

  • 著者名:森田伸子
  • 価格 ¥2,530(本体¥2,300)
  • 勁草書房(2021/10発売)
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  • ISBN:9784326154203

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内容説明

「知ること」への欲求に満ちている、世界と出会ったばかりの幼い子どもの言葉や、「生きる意味」を探究しようとする、思春期の子どもたちの言葉。これらを丁寧に読みなおしながら、古今東西の哲学者の思索とのつながりを紐解き、哲学とその教育の可能性について考える。子どもと接する教育関係者、そして子どもを持つすべての親へ。

目次

はしがき

第I部 子どもたちの問い──哲学への欲求

第一章 幼年期の問い──世界が「アル」ことの不思議
 形而上学 : 後に来る知?
 始原の問い : 第一の哲学
 自然学と形而上学
 始原の問いと最後の知(アルケーとメタの間) : 問いとしての形而上学
 「ある」と「ない」の始まり
 「アル」と言葉の力
 「アル」の力
 「アル」の「終わり」についての問い
 宇宙の果てについての問い
 世界の始まりについての問い
 「無」は存在するか?
 幼年期の問い : 哲学的思考のはじまり
 幼年期を守ること
 問いから探求へ

第二章 実存的問い──「自分」という不思議
 幼年期の終わりと新しい時間の始まり
 ハイデガーへの寄り道 : 現存在としての人間
 「じぶんじしん」は決して死なない
 自分であることの不思議さ
 「じぶん」と「今」
 生きられる時間・成長の時間
 「自分自身」と「人間じゃないもの」
 「人間」と「人間じゃないもの」の間で
 言葉の知恵 : 言葉によって、言葉を超えるものへ

第三章 「世の中」と自分──人間であることへの問い
 「自分」と「人間」
 「人=世間」
 世の中─すべすべした人間
 「良い子」と「普通の子」の間で
 学校ときれいごと
 きれいごとの社会 : 反哲学

第四章 自分と他者
 他者の発見
 幼年期の終わりと親子関係の始まり
 誰かの子どもに「なる」こと
 「デアル」ことから、再び「アル」ことへ
 親となることと「歓待」について
 フランケンシュタインとその子ども
 「散種」の子ども

第II部 問いから探求へ

第五章 哲学の効用
 哲学=テクストの読解
 哲学=上げ底を埋めるプロセス
 哲学の方法 : ねちっこさ
 きれいごとと真実の間
 哲学することと他者とのつながり : 意味の世界
 人とつながること、そして笑うことを学ぶこと

第六章 哲学を学ぶ/教える
 哲学は学べるか?
 二つの哲学教育
 声の哲学と文字の哲学
 哲学と文字の共同体
 子どもの哲学
 子どものための哲学教科書 :『こども認識論 林檎の味』
 道徳教育としての哲学教育 :『授業 人間について』
 探求の共同体
 探求の共同体と道徳教育

第七章 哲学の場所
 なぜ学校に行かなければならないのか
 学校は役に立つか
 勉強は役に立つか
 選抜に役立つ学力
 新しい学力観と知識
 知識─それがあれば生きていけます
 学校にスコレーを

むすびにかえて
文献リスト

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

23
著者の優しさに触れた気がした。子どもたちの無垢な、だが恐ろしいほど切実で率直な問いに対して著者は誠実に答えようとしている。デリダやハイデガーを引用するその手付きはしかし、決してアカデミズムにむやみに淫しようとしていない。この著者の中で血肉化した哲学が開陳されていて、その手堅さに唸った。それにしても、この本で書き留められる子どもたちの言葉のなんと鋭いことか。中には確かな「SOS」を発している子も居て、その子たちにこの本の言葉が必ず届きうるとも信じたくなる。難しい哲学をありがたがるのではなく平易で温もりがある2023/01/18

kawauso

3
自分の子の事を考えながら読んだ。子どもの存在論的な問いは、暇で何もすることのない、でも全てが満たされている状態から生まれるとあって、私の子もそうして世界の不思議について興味を持ち、考えてほしい。だからそのために、安心できる場所でありたいと思う。一方で成長するにつれ、他者との関係や世界との折り合いのつけ方に悩んでしまったとき、どんな言葉をかけることができるのだろうと思った。2025/02/16

酔うた

1
子どもは本来的に哲学的な存在だが、どんどん哲学から離れていく。子供に哲学を取り戻すためにはどうしたらよいのか、どう考えたらよいのかをこれほど真面目にとらえた本は初めて。思想に振り回されない人間の幸せ・喜びを回復させるための思考実験。これこそ哲学のルネッサンス。2018/03/28

ねこみ

1
洋書のように綺麗な日本語で綴られる物語2011/12/10

Arick

0
わたしは、哲学的な考え方、探求が一般教養になっていけばいいなと考えている。そのために、私は学校で哲学対話を行い、学校や学級を「刺激的で生き生きとした、そして時に笑いとユーモアをともなう、友愛に満ちた探求の共同体P.258」にしていきたいと思う。 2015/11/11

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