グリーフケア入門

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グリーフケア入門

  • ISBN:9784326299003

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内容説明

東日本大震災から一年が経つが、大切な人を失った悲しみはいまも癒えることなく、進行する核家族化と地域社会の希薄化は、かつてのような自然な癒しを生じにくくさせている。そうした悲しみのうちにある人々を理解し寄り添うことの大切さを、悲嘆ケアに関する日本初の教育研究機関であるグリーフケア研究所のメンバーがわかりやすく説明する。

目次

はじめに[高木慶子]

序章 グリーフケアとは[山本佳世子]
 1 なぜ今、「グリーフケア」か
 2 悲嘆とは何か
 3 悲嘆者を支える
 4 おわりに

第I部 実践編

第1章──阪神・淡路大震災、JR福知山線事故を経験して[高木慶子・山本佳世子]
 1 はじめに
 2 災害時の悲嘆
 3 阪神・淡路大震災
 4 JR福知山線脱線事故
 5 セルフケアの重要性
 6 おわりに──東日本大震災を経験して

第2章 遺族会とグリーフケア[高木慶子・山本佳世子]
 1 はじめに
 2 遺族会とは
 3 遺族会の実際
 4 さまざまな遺族会
 5 おわりに

第3章 日本社会の伝統的なグリーフケア[大河内大博]
 1 はじめに──本章の視点
 2 儀礼の「場」と仏教僧侶によるグリーフケア
 3 日本人にとっての死者供養
 4 仏教儀礼と仏教僧侶の役割におけるグリーフケアの要素
 5 仏教僧侶の意識改革
 6 仏教がもたらす遺族の負担
 7 おわりに――グリーフケアの充実のために

第II部 理論編

第4章 グリーフケアの基盤としてのスピリチュアルケア[小西達也]
 1 はじめに
 2 ビリーフとスピリチュアル・クライシス
 3 スピリチュアル・クライシスと向き合う
 4 スピリチュアルケアの実践
 5 スピリチュアルケアでのケア提供者の在り方
 6 おわりに

第5章 臨床心理学における悲嘆[横山恭子]
 1 はじめに
 2 「悲嘆」に関する心理学的研究の展開
 3 死別体験研究
 4 グリーフ・カウンセリングとグリーフ・セラピー
 5 プロセス研究と緩和ケア
 6 外傷性悲嘆とレジリエンス
 7 おわりに

第6章 グリーフケア研究の動向[森俊樹]
 1 グリーフワーク理論と段階説
 2 継続する絆
 3 認知ストレス理論
 4 統合理論の試み
 5 二重過程モデルの意義
 6 意味の再構成理論の可能性
 7 悲嘆の文化的社会的側面
 8 公認されない悲嘆
 9 おわりに

第III部 人材養成編

第7章 グリーフケア提供者を目指す人たち──アンケートおよびインタビュー調査から見えてきた動機とニーズ[山本佳世子]
 1 はじめに
 2 調査の方法
 3 グリーフケア提供者を目指す人の喪失体験と動機
 4 グリーフケア提供者を目指すことの意味
 5 おわりに

おわりに[高木慶子]
参考・引用文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

9
悲嘆を癒す。喪失体験が悲嘆を増していく。悲嘆を他者が癒してあげねば個人はイカレテしまう。昨日はツイッターで死にたいとかいろいろな感情がごっちゃになっている人のツイートに2,3回返信したが、できればコメントしなければよかった。その人からは予期せぬ反発があったし、面識もないので・・・。3.11の件でも、寄り添うことの限界(37頁)を指摘されているが、昨日の返信で実感した次第だ。気づきの大切さは、いじめる側に必要なパーソナリティだが、本書でもスピリチュアルケアで指摘されている。ケアは患者自立のための支えである。2013/06/03

amanon

2
愛する者を失った喪失感…生きていれば誰もが経験するはずなのに、なぜかそれが大きく取り上げられることがなかった。その事実に改めて驚かされる。その背景は本書に詳述されているが、自分の職業の関係もあって、このグリーフケアの重要性は今後ますます増していくということを痛感。「理論編」はやや難解だったが、それだけに余計、一口に喪失感とはいっても、個人は文化、宗教的背景によって様々で、その対処の仕方も更に多種多様なものになるだけに、今後この分野は様々なハードルが課せられるだろう。同じ分野の本を更に読んでみたい。2017/04/06

とある聖職志願者。

2
同性愛、婚約関係、死産、流産、家族以外などの公認されない対象者へのグリーフケアについての記述が興味深かったです。2016/03/14

JunTHR

2
悲嘆のさなかにある人に寄り添い、乗り越える手助けを目指すグリーフケア、その丁寧な入門書。基礎理論から最新の理論動向、人材育成の具体的な状況まで概括的に記されていて、とても勉強になる。「受け入れ」そして「寄り添う」ということ、それしか出来ないんだという点が強調され、安易な理解や励ましを避けることを教えられる。グリーフ=悲嘆の生まれる状況、個人差、文化的社会的な条件による違いと、それらに応じた対応のバリエーションなどは呑気に考えていては思い当たらない点が多く、専門家を目指す人以外にも多くの示唆を与えてくれる。2014/12/16

まにゃん

1
他の心理学の本を読んでから読んだため、理解が順調であった。何かしらの前置きがないと、何度も読むことが必要になると思った。入門というだけあり、概要はもちろん、自分のグリーフについても大いに考えさせられた。自分のグリーフに対する受け入れや意味づけ、今まで学んできたグリーフに対しての考え方は間違いではなかったのだとこの本を通して安心が芽生えた。ケアする立場はとても難しいことも分かった。見えないからこそ、隠してしまいがちだからこそ、相手に傾聴する姿勢、自分の解釈に惑わされない姿勢が重要だと思う。2023/10/25

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