内容説明
あることがきっかけで家族も友達も信じられず、高校進学を機に祖父母の家に引っ越してきた真波。けれど、祖父母や同級生・漣の優しさにも苛立ち、なにもかもうまくいかない。そんなある日、父親と言い争いになり、自暴自棄になる真波に漣は裏表なくまっすぐ向き合ってくれ・・・。真波は彼に今まで秘めていたすべての思いを打ち明ける。真波が少しずつ前に踏み出し始めた矢先、あることがきっかけで漣が別人のようにふさぎ込んでしまい・・・。真波は漣のために奔走するけれど、実は彼は過去にある後悔を抱えていた――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
158
『どうして世界は、こんなにも、悲しいことで溢れているんだろう。どうして神様は、こんなにも、苦しみばかり与えるんだろう』。“あることがきっかけで家族も友達も信じられ”なくなった先に自暴自棄な日々を送ってきた主人公の真波。そんな物語には、そんな真波の心が『海』を象徴的に描く物語の中でときほぐされていく様が描かれていました。美しく描かれていく『海』の描写に魅せられるこの作品。そんな描写に重なるように人の心の優しさを見るこの作品。この世に生きることの大切さを、人と人の繋がりの中に教えてくれる素晴らしい作品でした。2024/07/03
おしゃべりメガネ
156
前作『海に〜』から10年後の話が綴られています。いい意味で、余計な飾りはなく、すっきりストレートな純愛青春作品かなと。個人的には前作より読みやすく感じ、登場人物にもストレスを感じるコトなく、スラスラと読み進めるコトができました。`自分が嫌い`なコトって時と場合、場面によっては少なからずあって、果たしてそのキモチをどう変えていくかみたいな流れが、簡単にはいかないのが青春時代の葛藤なんだろうなと。本作を読むと人に素直にすっとココロから感謝の意をこめて「ありがとう」と伝えるコトの大切さをしっかり学びますね。2021/10/22
もぐたん
82
屈託なく晴れやかに笑える人を羨み、自分の殻に閉じ籠ろうとする主人公。しかし、真剣に向き合ってくれる他人の温かさを実感することで、少しずつ心を開いていく。 気持ちの揺れ幅が大きく、すぐに死に繋がる絶望に染まるこの年頃の身勝手さ、純粋さに、自分を重ねる人も多いだろう。苦しくて切なくて胸をかきむしりたくなるような日々でも、生きていることをそのまま認めてくれる人が一人でもいるだけで許された心地になる。人の優しさをきちんと受け止める力を身につけた主人公は、きっとこれからは、人にも自分にも優しくなれる。★★★☆☆2021/10/17
ゆのん
80
大切なもの程目に見えない。優しさや、気持ちや心。辛さや悲しみも目に見えたなら早く癒されて元気になれるのだろうか?例え目に見えたとしても心ない言葉や態度を感じる事はあるのかもしれない。人を理解するのは本当に難しいし、心からの優しさに正解は無いのかもしれない。それでも言葉にして伝える事で暗い場所から明るい場所へ歩き出す勇気になるのではないか。本作では、様々な優しさを感じる事が出来る。ストレートな優しさもあれば、厳しいと感じる優しさ。その優しさを感じる事で自分自身も優しくなれる。2021/10/30
ムーミン
69
わかりやすいシンプルな展開と表現。中学生に読ませてあげたいと思いました。作者は教師と知って納得しました。他の作品も読んでみます。P.258「人の優しさは目に見えないから、ちゃんと自分で気づかないといけないのだ」2022/03/10
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