内容説明
難病を患い、余命わずかな呉野は、生きることを諦め日々を過ごしていた。ある日、クラスの明るい美少女・吉瀬もまた“夕方の記憶だけが消える”難病を抱えていると知る。病を抱えながらも前向きな吉瀬と過ごすうち、どうしようもなく彼女に惹かれていく呉野。「君の夕方を僕にくれないか」夕暮れを好きになれない彼女のため、余命のことは隠したまま、夕方だけの不思議な交流を始めるが――。しかし非情にも、病は呉野の体を蝕んでいき・・・。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
合縁奇縁
89
『生きる意味を失った僕の、君は最後の光だった――。』エブリスタ×スターツ出版文庫大賞、大賞受賞作品。心理描写と情景描写がとても繊細に丁寧に表現されてます。太陽を浴びることができず余命宣告をされた呉野と、夕方だけ記憶が抜け落ちてしまう吉瀬との青春恋愛物語。選択美術の時間と夕方の時間を共に過ごすようになり、二人の距離が縮まっていく中で、次第に吉瀬の真っ直ぐな心に惹かれていく呉野。夕暮れの二人だけの幸せな時間の中でも吉瀬だけがの夕方の記憶を忘れてしまうのがもどかしいです。残された時間の中で多くのことは望まず、2024/02/29
ジャム
5
すごく良かったと思います! 未来を諦め、死を受け入れているのか最初どこか人らしさを感じないというか淡々としていた主人公だが、吉瀬や高岡達と関わりだしてからどんどん感情が出てき、この心情描写が上手く、とても美しく主人公の葛藤や戸惑いが伝わりすごく自分も辛くなったし、心にくるものがあった。 そして、度々出てくる病気などについての問いに自然と考えさせられました。「病気は神様から与えられたもの」って表現なんか好きだなぁ〜。 すごくメッセージ性の強い作品だなと思いました!2022/02/01