内容説明
戦後最高の総理大臣と言えば、古くは吉田茂と相場が決まっていました。今だと田中角栄でしょうか。いいえ、池田勇人こそ、現代日本人が生きていける財産を残し、その遺産で今も日本を救い続けている戦後最も偉大な総理大臣なのです。
「嘘だらけ~」シリーズは、間違った歴史観によって歪んでしまった日本人の処方箋となるべく、はじめられました。「田中角栄が日本の絶頂期の高度経済成長を築いた」 「田中角栄こそ戦後最高の実力政治家だ」などの誤った認識は正されなければなりません。
史実の池田は、志半ばで病に倒れました。しかし、健康に恵まれ、安倍晋三のような長期政権を築いていたら、間違いなく大日本帝国は復活したでしょう。
「池田勇人、誰それ? 日本人をエコノミックアニマルにした人?」
そんな通説を覆す、知られざる戦後最高の宰相池田勇人の物語です。
【本書の構成】
第一章 若き日は挫折の連続
第二章 官僚機構の頂点を極めても中間管理職
第三章 大臣になっても中間管理職
第四章 再び茨の道へ
第五章 高度経済成長― 我々日本人は池田勇人の遺産で生きている。
終 章 池田勇人が総理を8年やれば、大日本帝国は復活した!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
42
池田勇人というと「貧乏人は麦を食え」とか「寛容と忍耐」という言葉ぐらいしか知りませんでしたが、優れた政治家であることがわかりました。日本が世界第3位の経済大国から転落しないのも池田勇人の遺産を食い潰しているからだという著者の指摘は納得です。コロナ禍で煽るマスコミやできて当たり前の対策すらできない政治家・官僚にも問題はありますが、恐怖による思考停止で以前のことはすっかり忘れてしまった「コロナ脳」の国民にも問題はあると思います。本書は池田勇人の事績を踏まえて「ではどうするか」を問いかけているのです。2021/10/09
軍縮地球市民shinshin
15
池田勇人の評伝。なかなか面白かった。池田というと高度経済成長を実現したので経済一辺倒かと思いきやそんなことはなく、外交や安全保障分野にも目を配っていたことがわかった。次の佐藤栄作内閣が、外交や安全保障の政府解釈を作ったことがわかった。第二次安倍内閣はそれを崩そうとしたので左翼に嫌われているのだが、コロナ禍の影響もあって不完全な改革に終わったとしている。この本が出された当時、まだ安倍さんは暗殺されていないので、著者の安倍批判が最後に出てくる。2024/03/27
出世八五郎
15
著者の歴史物などは楽しめますが、政治家を取り扱った作品は難しいといいますか、歴史のようなダイナミズムもなく、政治のドロドロした駆け引きのようなものが描かれており、没入できないといいますか、引き込まれるものはありません。嘘だらけシリーズの本作品は面白かった。池田勇人があと数年生き続け、総理大臣をやっていたら、大日本帝国は復活していた。田中角栄も全員、池田勇人の遺産を食い潰しているだけ・・・吉田茂や池田勇人の時代よりも日本は後退している。当時はまだ、立ち直ろうとうする気が日本中にあった。大久保利通と並び立つ?2021/11/19
WS
6
中学生の頃歴代総理の業績が年表になって載っている公民の資料集を読んでいた時に思った、「所得倍増が1番業績あるのになんでこんなに有名じゃないの?池田が1番じゃない?」という疑問が確信になった一冊だった。2021/11/18
Go Extreme
6
若き日は挫折の連続:すべての受験で挫折 難病で休職・妻の死 残念臭の漂う池田の前半生 官僚機構の頂点を極めても中間管理職:あかい思想のブラック上司 大臣になっても中間管理職:頭が悪すぎるアメリカ人に頭を痛める 貧乏人は麦を食えの真意 バカヤロー解散と8人の侍 再び茨の道へ:石橋湛山の迷惑な潔さ 岸退陣に最後まで付き合う 高度経済成長― 我々日本人は池田勇人の遺産で生きている:死を覚悟して総理の座に アベノミクスは池田勇人の焼き直し 実は得意だった外交 池田勇人が総理を8年やれば、大日本帝国は復活した2021/11/04