内容説明
シド・ヴィシャスの生まれ変わりと囁かれる新進気鋭のパンクロッカーまなぶ。彼の前に立ちふさがる謎の宗教思想「仏教」! その教えにリアルパンクロックを見たまなぶは、恐るべき腕力を誇る老僧に導かれ、仏の道へと足を踏み入れる……。吹き荒れる暴力と悟りの果てに青年は何を見るのか。本邦初、ヴァイオレンス仏教解説!シャル・ウィ・ニルヴァーナ!!
目次
プロローグ 「パンクロッカー仏門に入る」
第一章 パンクロッカー vs 釈尊
苦と悟り
四門出遊
降魔成道
三昧体験
十二支縁起
梵天勧請
初転法輪
無常と五蘊非我
在家への説法
般涅槃
第二章 パンクロッカー vs 龍樹
根本分裂
大乗仏教
ジャータカ
『中論』
戯論寂滅
誓願とミラクルパワー
第三章 パンクロッカー vs 玄奘三蔵
中国からの伝来
仏の呪い
仏教と十七条の憲法
奈良時代の仏教信仰
唯識
華厳思想とエコロジー
第四章 パンクロッカー vs 最澄
最澄と空海
両界曼荼羅
大乗戒壇
久遠の本仏
諸法実相
五時八教
秘密の教え
即身成仏と六大無碍
第五章 パンクロッカー vs 法然 vs 日蓮
鎌倉新仏教
『往生要集』
専修念仏
一念義と多念義
『立正安国論』
南無妙法蓮華経
第六章 パンクロッカー vs 禅僧
修証一等
黙照禅と看話禅
公案
悟後の修行
【コラム】
釈尊の悟り
縁起と全体ドカーン
仏教、辛気臭え!
南都六宗てきとう解説
悪人正機
鎌倉新仏教とリアリティ
仏教で遊ぼう ~ファッション仏教~
エピローグ
参考文献
解説 リアル住職がパンクロッカーを読んで 薰丸P
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
流言
17
仏教は、難解である。アブラハムの宗教、あるいは他の多くの宗教がそうであるように、原始仏教に神の概念はない。神の実在などどうでもいい。いかにして自分が生きるという苦しみから解き放たれることこそ仏教の神髄。ということがわかった上で、いかにそれがうまく伝わらなかったのか、という内容を噛み砕いて説明されていて楽しく読めた。仏陀式の瞑想こそが唯一無二の悟りの手段なんだけど、あっという間に失伝してしまい、後世の仏教者は悟りを得るために試行錯誤を繰り返していると理解した。でも法然の掲げてる専修念仏はもはや別の宗教だろ。2019/01/11
昼と夜
14
浄土真宗と思ってた宗派が実は浄土宗でしたーでも仏壇浄土真宗だよね?という事実が発覚したり、法事で南無阿弥陀仏を10回唱えたりと、ここ最近仏教が気になる存在。そんな中もしドラにインスパイアされたという本書を読友wanko先生からお借りしました。非常に噛み砕いた表現で、何故浄土宗が南無阿弥陀仏を唱えるとか分かりやすい。これで法事の時も親しみを持てそうです。余談ですが法事で従姉妹の子供5才が木魚を目一杯叩いてたら木魚が転げて和みました。あと通夜→葬儀→繰上げ初七日法要のコンボは初七日までくるともうフラフラです。2014/01/29
123456789wanko
14
8月 かの名著「史上最強の哲学入門」がバキの作者にイラストを描いてもらいながらも実態は思想のバトルだったのに対し、こちらは仏陀や日蓮とパンクロッカーがリアルファイトを繰り広げます。なんのこっちゃ?と思ったあなたは是非読みましょう。「それでも密教なら・・・・・・、密教ならきっと手からビームが出せるはずだ」私にもそう思っていた時期がありました。2013/08/20
パブロ
12
パンクの勢いだけで突っ走る! わかりやすいけど、読んだ後には何も残らない…これぞ、パンクロックの真髄だぜ!ってな感じの本。パンクロッカーが釈迦、龍樹、最澄や禅僧などとバトルを挑みつつ、その思想に触れる仏教入門書。仏教を学ぶならまずはニュアンスからということで、感覚のみで生きるパンクロッカーを主人公に持ってきたり、仏教用語を砕けさせた(例えば三昧を「全体ドカーン」とか)センスは抜群だけど、でもでもやっぱり仏教思想は難しい。それにね、パンクだけに最後は「God is dead」で締めてほしかったな〜。2015/06/26
なる
11
「悟り」を「どうでもいい」という言葉に置き換える、というコペルニクス転回に引き込まれる。長じて「どうでもいいと思うことさえどうでもいい」知り合いの僧侶が感心していたくらいなので、仏教の入門書としてわかりやすい上にかなり細かいところまで押さえているそう。専門用語が出てくるあたりになると少し止まるものの、観念をとらえることはできる気分。生きていて苦を感じているのはまだ「どうでもいい」と思える境地に達していないのだな。そもそも正解のない仏教の世界。筆者の考え方も一つの方便、というのを筆者も理解しているのがいい。2020/05/15