ちくま文庫 蒋介石を救った帝国軍人 ――台湾軍事顧問団・白団の真相

著者名：野嶋剛【著】

筑摩書房（2021/10発売）

• ISBN：9784480437440

内容説明

日中戦争後、蒋介石は帝国軍人による軍事顧問団・白団を組織させた。直前まで宿敵だった者同士が手を結ぶことができたのは、なぜか。米国のフーバー研究所で公開された、蒋介石の50年を超える日記、白団の生存者たちの肉声、さらに台湾軍上層部の証言を集めた。敗戦国軍人の思い、蒋介石の真意とは。

目次

プロローグ　病床の元陸軍参謀
第一章　皜介石とは何者か
１　空前絶後の日記
２　ゆかりの土地で
３　二度の日本体験
第二章　岡村寧次はなぜ無罪だったのか
１　支那通軍人として
２　「以徳報怨」演説と国民党への協力
３　もし彼に死刑を与えたら……
第三章　白団の黒子たち
１　曹士澂ファイル
２　『蟻の兵隊』をめぐって
３　キーマン・小笠原清
第四章　富田直亮と根本博
１　一九四九年九月十日
２　古寧頭の戦いの謎
３　さながら「軍師」
第五章　彼らの成しとげたこと
１　敗北を奇貨として
２　圓山の日々
３　模範師団と総動員体制
第六章　戸梶金次郎が見た白団
１　軍人の肉声
２　理想や理念だけでなく
３　解散の予感
第七章　秘密の軍事資料
１　東洋一の軍事図書館
２　「調研第○○号」
３　服部機関の影
第八章　白団とはなんだったのか
１　存在を明かすべきか
２　楊鴻儒の悲劇
３　日中台と皜介石、そして白団
エピローグ　温泉路一四四号
あとがき
主要参考書籍
巻末資料
関連年表
人名索引
文庫版追記
解説　保阪正康

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[CTC]

21年ちくま文庫、単行本は14年講談社、初出は11年からの同社ノンフィク誌『G2』。著者は元朝日の大東文化大特任教授（専門＝メディア論…だが…プロローグで“名参謀”として児玉源太郎、秋山真之、石原莞爾と瀬島龍三の4人を並べる時点で、最低限のファクトの整理も出来てない、メディア論なんか成立しないだろうと思ってしまった。）という事で、まぁ相当に厳しい目で読んだ。“白団”の事が知りたければググればいいわけで。ただ著者はスタンフォード大フーバー研究所所蔵の『蒋介石日記』を丹念に読んで、本書の背骨を作っている。

2025/12/19

[じぇろポーta]

日中戦争終結後国共内戦に敗れ台湾へと逃れた蒋介石（中華民国）。日本で彼を支援するために旧帝国軍人による軍事顧問団「白団」が結成された。本書は蒋介石の人となり、白団結成の経緯、実際の活動内容等について紹介されており抜群の読み応え。白団メンバー戸梶金次郎の日誌に綴られる台湾での日々。待遇改善闘争や教え子たちとの交流、将来への不安の吐露。戦後活動した「服部機関」との関係。日台関係の変化に運命を翻弄された楊鴻儒。蒋と白団の交流と協力は、市井の人々にとって政権から自由を抑圧された暗い時代での出来事だったとの指摘。

2021/11/30

[ZaZa]

★★★ 第二次世界大戦や日中戦争に関心があり、読書をしているが、今後のテーマとして台湾も加わった。まだまだ読みたい本がたくさんある。

2021/06/22