ちくま新書<br> 埴輪は語る

個数:1
紙書籍版価格
¥990
  • 電子書籍
  • Reader

ちくま新書
埴輪は語る

  • 著者名:若狭徹【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2021/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480073853

ファイル: /

内容説明

「王」の権力を見せつけるため造られた、古代の巨大建造物、古墳。そこに据えつけられた埴輪は、古墳を荘厳に見せる飾りであり、家形・動物形・人物形とバリエーションが増えることで多彩なシーンを再現するようになる。盛装した王を中心とした水の神をまつる祭祀のシーン、猪・鹿・鷹などの狩猟シーンなど。しかも複数のシーンは一本化され、立体絵巻のようにビジュアル化されている。治水や狩猟など王の業績をアピールして、治世の正当性を主張しているのだ。大量の埴輪生産を可能にした、工人組織の存在や社会的な“ゆとり”まで、埴輪が語る古墳時代の社会を読む。

目次

古墳と遺跡・地図
埴輪年表
はじめに
第1章 埴輪を発掘する
1 埴輪群像発見
埴輪への眼差し
先進的埴輪研究のはじまり
保渡田八幡塚古墳の調査
大量の原位置出土
首長権継承儀礼説
再発掘の機会が訪れる
2 埴輪絵巻を読み解く
複数の場面
首長居館での儀礼 Ⅰ群〔王
琴弾きと重臣
巫女
壺と鶏〕
立ち姿・武威の場面 Ⅵ・Ⅶ群
狩猟の場面 Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ群[猪狩り
鵜飼い
鷹狩り]
列を成す埴輪たち Ⅴ群
群像にみる社会
埴輪と古墳のシンボリズム
第2章 埴輪はどのように発展したか──三五〇年の歴史
1 埴輪の初現
前方後円墳の創出
前方後円墳の起源
特殊器台から始まった
特殊器台から埴輪へ
円筒埴輪の確立
埴輪の穴の意味
2 多量配列と器財埴輪の登場
古墳の階層性
円筒埴輪の列配置
家形埴輪・器財埴輪の出現
蓋形埴輪とは何か
盾と靫
家形埴輪の出現
3 造り出しの創出──無人の居館
造り出しの創出
居館の実像
水をまつる家
宝塚1号墳の船
水のまつりの流行
水鳥埴輪の情景
4 人物埴輪の登場
大山古墳の人物埴輪
出雲で見つかった初期の人物埴輪
盾持ち人埴輪は人物埴輪か
5 人物埴輪のうつり変わり
充実をたどる人物埴輪
東国埴輪群像の時代
様式化された場面とランク
第3章 見せる王権──人物埴輪の群像
1 王者の狩猟
群像としての人物埴輪
猛々しい猪を狩る
鹿を射止める
鵜を操り魚を捕る
堂々たる鷹狩りの男
2 狩猟場面の意味
猪と鹿狩りのシンボリズム〔猪狩り
鹿狩り〕
豪族たちの鵜鷹逍遥〔鵜飼い
鷹狩り〕
狩猟場面の意義
3 威儀と武威
力士埴輪の神秘性
武威を示す王の造形
東国でさかんな武人埴輪
渡海する東国の王たち
4 王の経済力
列として居並ぶ多様な埴輪
盛装の晴れがましい姿
馬形埴輪からみる馬生産
5 神をまつる王
中心場面の埴輪たち
中心場面の女子群像
水をまつる人びと
琴の呪力
埴輪群像総体の意味
第4章 埴輪の登場人物たち
1 被葬者は埴輪に造形されたか
被葬者と埴輪
多彩な首長像
造形された渡来人
2 埴輪にみる女と男
女性埴輪の世界
女性有力者をあらわす埴輪
女性の政治力と経済力
3 埴輪にみる動物と人の関わり
鳥の埴輪たち
牛の埴輪
4 異形の者たち
埴輪のガードマン
笑いとチラリ
入れ墨の呪力
5 大王の埴輪群像
今城塚古墳とは
今城塚古墳の埴輪群像
何を表わしたか
第5章 埴輪づくりを支えた仕組み
1 埴輪にみる地域色とその文化
北限の埴輪
ついに新潟でも発見
関東・中部地方の埴輪の採用
須恵器と一緒に焼いた埴輪─猿投型埴輪
西日本の埴輪
九州の動向
北部九州の石の埴輪
見つかり始めた木製立物
韓国の前方後円墳と埴輪
2 村びとたちの埴輪
3 埴輪の生産と流通
埴輪生産の推移
新池埴輪窯跡群の事例
埴輪の成形と整形
埴輪の焼き上げ
埴輪を運ぶ、船で運ぶ
終章 埴輪は語る──歴史の必然
埴輪の意味
埴輪の終焉
埴輪はいつ立てられた
あとがき
参考文献
図版一覧