内容説明
俺は時間の王だ――自分の人生のあらゆる時間を自由に通り抜けられる。些細な事故に遭ったせいで思い出した瞬間に戻ることができる能力を手に入れた主人公は、子供のころに会った少女の命を救おうとするのだが……。中国SFの新星による7篇を収録した傑作集
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
138
もっと自分にはちんぷんかんぷんで、頭ん中がぐるぐるになるのでは、と思ったけど結構解りやすくて楽しめた。笑いあり、ロマンあり、そして悠久の時の流れに身を委ねられる時間SFがぎっしり。これは『三体X』は読んでみなければ、と思うけれどもまずはその前に積んだままの本編のⅡとⅢを読まなきゃ、なんだよね…2022/05/10
ミライ
38
「三体」の二次創作小説(三体Xとして2022年に日本語版発売予定)が好評となり、SF作家としてデビューすることになったという逸話を持つ著者による「時間」をテーマにした7編収録の短篇集。どれも面白かったが、タイムスリップが可能なちょっと先が未来が舞台で、三国志で有名な曹操にラーメンを食べさせに行く「三国献麺記」が一番ぶっ飛んでいて面白かった。あと、宇宙をテーマにした「暗黒へ」はすごく「三体」を感じた。タイムトラベル系の小説が好きな人はハマると思う。2022/03/13
星落秋風五丈原
36
そうなんですよ中国にいくととにかく曹操と関羽の人気が高くて劉備っていまいちっぽいんですよ…。2021/10/14
小太郎
31
「三体」の二次創作というかスピンオフ作品「三体✕」(読んでないけど)を書いた宝樹さんの短編集。題名通り時間をモチーフにした7編の作品どれもがとても分かり易く尚且つSF好きな読者を十分に満足させる出来だと思います。前書きに書いてあるように作者は日本のSFに大きな影響を受けているし、欧米ものもかなり読み込んでいるみたいです。この頃結構中国系のSFが評判になりますが十分にグローバルに読まれる水準になってると思います。この中ではブラックホールの新解釈「暗黒へ」夏の扉不風「九百九十九本のバラ」がお気に入り。★42023/08/14
うまる
28
時間移動と共に歴史が感じられる、重厚濃密な時間もの短編集。"曹操にラーメンを食べさせる"とあったので、てっきりコメディ系だと思って読んだら面食らいましたが、どれも表現力が高く面白かったです。『三体』関連で有名な方だと知らず、紫金陳の訳者繋がりで手に取ったのですが、思わぬ収穫でした。一番好きなのは『九百九十九本のばら』神頼みより確実かもしれない理論が面白い。『成都往事』も時間もの好きにはたまらない展開。楽しいのはやはり『三国献麺記』腐女子って出てきて驚きました。思わず中国語でなんていうのか検索してしまった。2023/09/03