二極化する学校――公立校の「格差」に向き合う

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二極化する学校――公立校の「格差」に向き合う

  • 著者名:志水宏吉【著】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 亜紀書房(2021/09発売)
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  • ISBN:9784750517087

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内容説明

《「選ばれる学校」、「選ばれない学校」の分断を乗り越えるために》
「学校選択の自由と多様化」を名目にすすむ公立校の統廃合。そして、社会的・経済的に「学びの機会」に恵まれない子どもたち――。


《教育は、だれのものなのか》
機会均等により学力向上を追求した戦後の「メリトクラシー」から親の経済力と価値観が子どもの学力を決める「ペアレントクラシ―」へ。
学区制廃止、中高一貫校の導入などで広がる学校の二極化と学力格差……。


《「公正」の原理こそが、公立学校を蘇生させる》
PISA(OECD生徒の学習到達度調査)で上位成績を収める国々は、いずれも学力格差を縮める施策を採っている。しかし、日本では格差是正の動きはほとんど見られない。「成果主義」「競争主義」を掲げる方向性が変わらなければ、教育現場での努力にもおのずと限界がある。
「卓越性を求める教育」から「格差をなくす教育」へと舵を切るために、今できることとは何か?


公教育のより良い未来のために新たな道をさぐる提言の書




【目次】
■ まえがき

〈Ⅰ部〉
1章 メリトクラシーからペアレントクラシーへ
 1 大きな歴史の流れの中で
 2 学校の二極化とは何か?
 3 学校教育は公共財か、私的財か
 4 公正と卓越性――関係性の変容

2章 新自由主義的教育改革とは何なのか?
 1 そもそも新自由主義とは
 2 新自由主義的教育改革の典型例――サッチャー教育改革について
 3 日本への導入
 4 新自由主義をめぐるせめぎあい

〈Ⅱ部〉
3章 お受験狂想曲――卓越性をめぐる親子ぐるみのたたかい
 1 はじめに
 2 「教育を選ぶ」人とはだれか
 3 中学受験
 4 習い事
 5 「お受験」の現状
 6 「お受験」を支える人々

4章 学校選択制のいま
 1 イギリスの教育は動いていた!
 2 日本の学校選択制の草分け――品川区の事例
 3 学校選択制の盛衰
 4 遅れてきた大阪市?!
 5 考察――根づかなかった学校選択

5章 小中学生の学力格差――学校間格差の顕在化
 1 「学力の二極化」から「学校の二極化」へ
 2 「2こぶラクダ」化の克服――「効果のある学校」の存在
 3 国際学力データによる学校間格差の検討
 4 学力向上策との関係性――茨木市の事例から
 5 学校選択との関係性――大阪市の事例から

6章 高校の学区制――高校教育の変動の視点から
 1 戦後高校教育の発足――高校三原則
 2 学区制の歴史的変遷の全体像
 3 高校教育の展開のなかで――1950年代から90年代まで
 4 21世紀に入ってからの大きな変化
 5 まとめ――本音が理念を上回る

7章 高校教育の現在――卓越性と公正のはざまで
 1 私学優勢――高校における卓越性
 2 高校の階層構造――ローレンの研究から
 3 生徒文化はどう変わったか
 4 高校教育の「多様化」――政策の流れ
 5 卓越性と公正のバランス――大阪府の事例から

8章 多様化か、複線化か――学校体系のゆくえ
 1 複線型学校体系と単線型学校体系
 2 高等専門学校――中級技術者を育成する
 3 中等教育学校――公立部門の復権を目指して
 4 義務教育学校――卓越性と統廃合ニーズ
 5 学校体系は複線化したのか

〈Ⅲ部〉
9章 より公正な教育を求めて――学力格差を撃つ
 1 はじめに
 2 海外ではどうなっているか
 3 日本ではどうなっているか
 4 まとめ

10章 公教育のこれから――アミタリアンをつくる
 1 教育機会確保法の時代
 2 「しんどい層にとっての学校」からの展開
 3 公教育の理念を考える
 4 やわらかい学校システムをつくる
 5 おわりに

■ 参考文献
■ あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りょうみや

28
著者の今年の出版を続けて読む。本書は著者の教育社会学の研究成果を公立学校間の格差の観点から眺めた内容。あとがきに最近の著作は「どれも同じようなことが書かれていると思われるかもしれない」と認めている。でも「大事なことはそう多くない」と続けている。私も著者の本は重複しているけど大事なことが書かれていると思う。著者の本は個人的体験が豊富で難しい内容も分かりやすく言い換えてくれるのがよい。地元大阪の事例が多いのも嬉しい。個人的には今のペアレントクラシーの構造を認識したうえでどう生きるのかが問われている。2021/12/28

かんた

8
本書では公立学校内における格差について、その要因を「私事化」と「新自由主義的教育政策」に求めている。学校選択制の拡大という流れに、教育を選ぶという発想が加わることで、著者が危惧するペアレントクラシーが助長されているといえる。ペアレントクラシーについては、「親の経済力や関心が教育選抜に決定的な重要性を持つ社会」と捉えて差し支えないだろう。公立学校が「公正」の原理を完全に手放したとき、学力格差は取り返しの付かないほど大きなものになっているかも知れない。2021/10/09

お抹茶

2
新自由主義的教育改革のように格差を固定する公教育ではなく,「一緒に作る」公立学校の姿を肯定する。家庭が所有する富と子供に寄せる願望によって影響される選択によって基礎づけられるというペアレントクラシーが公教育を解体していると考える。品川区の小中一貫校選択制の理念である「特色ある学校づくりを保護者や子供が選ぶ」という選択理由よりも,通学のしやすさや本人の希望・友人関係が主な理由であり,制度発足当初から人気校と不人気校に二分された。TIMSSの算数・数学の結果を見ると,学校間格差は中学校が小学校の2倍以上。2021/10/05

達観

1
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