内容説明
30万人の警察官を率いるトップ、警察庁長官はどんな仕事をしているのか。警視総監の仕事と何が違うのか。どのようなキャリアパスを経て長官は選ばれるのか──。國松孝次第16代長官をはじめとした4人の元長官と1人の元警視総監にロングインタビューし、知られざる警察トップの仕事と素顔に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
106
複雑で巨大な組織ほど、管理運営には細心の注意が求められる。国の治安維持を任され、人身や財産を拘束する権限が与えられた警察なら尚更だ。警察を舞台にした小説やドラマで何となく知っていても、一般人には町の交番以上はわかりにくい。そうした組織トップのインタビューを通じて、時代により変化する犯罪や求められる役割が移ろう状況に対応した警察像を模索する。特にキャリア組に様々な経験を積ませ、選抜していく人事重視の姿勢は企業経営者にも頷けよう。ただ誰もが政治の干渉排除を強調しているが、実際にどこまで貫けているか疑問も残る。2021/11/15
おいしゃん
26
タイトル通り、警察庁長官の職務や素質について触れた本だが、何より歴代長官と警視総監の、5人の大物とのインタビューが秀逸。これだけでもこの本の史料的価値は高い。2022/12/12
サケ太
26
近代警察の歴史。それは日本の警察たちが様々な事件や事故を解決するために努力を重ねてきた歴史でもある。GHQの持ち込んだ制度。それを日本に適したものに変えていく。ストーカーの犯罪化。狙撃された警察庁長官。交通事故の減少。災害への対応。警察の今までの成果がよく分かる部分もあり、細分化してきた警察業務の多さに驚かざるおえない。2021/12/23
ノンケ女医長
18
警察組織で、最も権限があり、重責にさらされ続ける役職。警察庁は、警察の法律を作る組織でもあり、頭脳の結集。その長にはどんな任務と歴史があるものなのか、過去から現在に至るまで仔細に紹介されている。警察と政権との関係にも触れられ、近代史を学び直すこともできた。「警察庁長官」という、警察組織のトップに焦点化した興味深い作品。しかし、なにより警察庁長官を務めた本人と対談できる著者が、すごいと感動した。願わくば、次作で「次長」を詳説して欲しい。2023/07/23
dinsmarkuniv
12
時折読みたくなるジャンル、警察・官僚機構モノ。プロジェクトマネジメント論、リーダーシップ論として面白く読めた。 2022/03/06