山と溪谷社<br> ヤマケイ新書 山小屋クライシス 国立公園の未来に向けて

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山と溪谷社
ヤマケイ新書 山小屋クライシス 国立公園の未来に向けて

  • 著者名:吉田智彦
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 山と溪谷社(2021/09発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784635510639

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内容説明

多くの登山者が利用する日本の山小屋が存続の危機に瀕しています。
これは、戦後に制定された日本の国立公園制度が抱え続けてきた課題が、新型コロナウイルス禍を経て、
現実的な問題として表出し、制度が限界に近づいているひとつの証です。
山小屋に切迫している数々の問題を紹介しながら、日本の国立公園、
ひいては自然環境・観光行政の在り方について考え、提案する一冊です。

■内容
まえがき
コロナ禍が浮き彫りにする山小屋の問題

第1章 山小屋が抱える諸問題
1 ヘリコプター問題
ヘリの機体減少に伴って急浮上してきた山小屋への物資輸送問題。
それまで山小屋が抱えてきた山小屋運営の構造問題点。
2 登山道整備問題
登山道崩壊の原因と修復方法・その後のメンテナンスの現状から見えてくる登山道管理の問題点。
3 山小屋改修問題
山岳地という特殊な環境が考慮されず、小屋改修に対する制約、エクステリアに関する条例、国有林管理など、
さまざまな種類の管理体制が入り乱れた状況から起こる問題点。
4 トイレ問題
富士山の「トイレットペーパーの川」現象で社会問題になった山のトイレ問題。バイオ化導入の状況とその効果、
設置後の環境に対する影響評価、管理者や補助金制度などの問題点。

第2章 国立公園の未来を考える
前章で明らかにした国立公園内の山小屋に関わる諸問題が、なぜ、表面化しているのか。
法律や歴史、国家予算などを踏まえて紐解くとともに、日本との比較として米国、英国の国立公園行政を紹介。
1 日本の国立公園
2 アメリカの国立公園
3 イギリスの国立公園

第3章 対談「これからの国立公園」
日本の国立公園と山小屋が進むべき方向性と可能性を探るべく、
北海道大学大学院農学研究院准教授・愛甲哲也氏と雲ノ平山荘主人・伊藤二朗氏が対談。

あとがき

■著者紹介
吉田 智彦(よしだ・ともひこ)
1969年、東京都出身。
20代半ばに勤めていた会社をやめて、ニュージーランド、カナダ、アラスカなど諸国をまわる。
カヤックやトレッキングを通じて自然と人間のあり方を考えるようになり、エッセイ、ノンフィクションや写真、絵を発表しはじめる。
サンティアゴ、カイラス山、インドなど世界の巡礼路を歩き、全熊野古道、四国八十八カ所霊場を踏破。
現在は、日本独自の文化に注目し、埼玉県の農村歌舞伎や琵琶湖の沖島を取材している。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

goro@80.7

55
ヘリコプターでの物資輸送が思うようにいかなくなり、コロナ禍で登山者の利用も制限されている状況の中、山小屋のおかれてる危機的状況はあらゆる問題を浮かび上がらせる。無償の登山道整備、救命活動、トイレ、避難場所としての公益性。日本の国立公園制度ってどうなの?国立公園内の登山道は誰が管理するのか?善意が成り立たなくなりつつある今、この先どうあるべきなのかとの考え方が必要。観光で訪れる、山に登りに来る人だけの問題ではなく、情報を発信し関心を持ってもらわなければいけないと問題提起してくる本書でした。諦めたらダメ。2021/10/01

roatsu

17
題名不適。日本の自然公園法と国立公園管理の、主に観光登山に絞った現状と問題点、程度が妥当。登場山小屋は北アの一部営業小屋でそこが一方的に唱える危機であり安易な税金投入に繋がる論理性は認められない。営業小屋なき北海道の国立公園はまた問題の性質が違う。日本の国立公園制度の長短含めた紹介や、米英との比較は簡潔で良い。が、米英は歴史、法制度、国民性が日本と違うので、向こうは是、日本は非という結論ありきの比較論は出羽守趣味で生産性が無い。当該国の問題点や我が国の特性も掘り下げるべき。総じて一部営業小屋の一方的な主張2021/09/22

onasu

14
山小屋(営業小屋)の採算が問題化したのは、ここ2年の前年、ヘリによる荷揚げ問題(多くは長野)に端を発していたが、それは短期的な要因で、賑わってみえるが往時より減った登山者、テント泊の増加で、山小屋の余力は削がれていた。  山小屋の多くは国立公園内にあるが、その余力(善意)でなされてきた登山道の整備も難しくなった。国立公園と銘打っていても、管理体制は曖昧で、主体となる者は不在、予算も些少なつけで、多くのところで早々にも官民の協力体制を築かないとと。  期待した内容とは違ったが、現場からの声は聞こえました。2021/12/07

スプリント

9
山小屋が抱える問題点。 ヘリコプター輸送の課題。 ゴミ・トイレ問題。などなど 登山ブームの陰で顕在化した山小屋の課題について知る。 便利さの追求はどこかで歯止めを掛けなければならないのかもしれない。2021/11/23

Go Extreme

4
コロナ禍が浮き彫りにした山小屋の問題 山小屋が抱える諸問題:ヘリコプター問題 登山道整備問題 山小屋改修問題 トイレ問題 国立公園の歴史と構造:日本の国立公園 アメリカの国立公園 イギリスの国立公園 対談「これからの国立公園」:北海道大学大学院農学研究院准教授・愛甲哲也 雲ノ平山荘主人・伊藤二朗2021/11/03

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