兄弟

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兄弟

  • 著者名:余華/泉京鹿
  • 価格 ¥3,630(本体¥3,300)
  • アストラハウス(2021/09発売)
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  • ISBN:9784908184246

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内容説明

中国では2005年に上巻、2006年に下巻が刊行され、たちまちのうちに話題沸騰、世界的ベストセラーとなった。日本では2008年に単行本、2010年に文庫本が、それぞれ「文革篇」「開放経済篇」として文藝春秋より刊行され、その後長く入手困難となっていた。「現代中国を知るための必読書」としてファンのあいだで伝説になっていた本書が、このたび、上下巻を一冊にまとめて復刊!

父親を亡くした李光頭(リー・グアントウ)と母親を亡くした宋鋼(ソン・ガン)が、片親同士の再婚によって義理の兄弟となったあと、それぞれの人生をどう歩んだかを描く物語。文革篇は兄弟の少年時代。地主出身という理由で父親は身柄を拘束され、母親は病気で入院し、わずか8~9歳だった兄弟は、飢えに苦しみながらも助け合って生き延びる。開放経済篇は、ふたりの兄弟の青年期。李光頭は、党の福祉工場をスタートに、したたかにたくましく廃品回収業で大儲けして起業家となる。一方、一途で実直な宋鋼は、兄弟ふたりの憧れの女性だった林紅(リン・ホン)の心を射止め、幸福な結婚をしたかに見えたが、時流に乗ることができず、悲惨な末路をたどる。

階級闘争の嵐が吹き荒れた文革時代と、拝金主義が横行する現代を、ともに狂乱の時代として描ききった怪作。プリミティブな欲望、恋愛模様、親子の情愛、血の繋がらない兄弟の強い絆、悲惨な民衆による暴力、ふんだんなユーモア、下品で猥雑な笑い、すべてがてんこ盛り。ジェットコースターのような疾走感で物語の愉しみを存分に味わえる1000ページに迫る大著。

目次

文革篇(一章~二十六章)、開放経済篇(一章~五十章)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

崩紫サロメ

16
両親の再婚によって「兄弟」になった二人の物語。本書については多くの人が「極端から極端へ」という言葉で語る通り、文革の狂気から改革開放という欲望の狂気の時代が描かれるとともに、善良で誠実な兄と、粗野で下劣な弟の極端なコントラストが強烈である。特にその弟の方がメインになるため、欲望に満ちた下劣な話なのだが、それをリアリズムに踏みとどまらせる著者の理性と品性、そして日本語として「読ませる」作品にした訳者には本当に頭が下がる。読み出したら止まらなくなるから、ある程度まとまった時間の確保が必要な本。2024/01/04

spatz

15
とにかく長いため、読むのに根気がいるだろうし、とにかく表現がすさまじく下品なので😏読む人を選んでしまうかもしれない。わい雑なものが好きな人へ、という宣伝文句も見たような気がする。辟易するような話の中で、何度もなんども声だして笑う場所、うならさられた。中国語はわからないけれど、翻訳を全く感じさせない、素晴らしい文章。近くて遠い国中国。文革の悲惨な歴史、流された血。その後に来る経済中心の、しかしいきいきとした混乱期。 近くて遠い国、中国。文学は国と国をつなぐものかもしれない。果てしなく長いけれど面白かった!2022/05/29

遠い日

9
とんでもなく暴力的な熱量が迸っている。文革に殺された父。それによって一家離散しなくてはならなかった義兄弟、李光頭と宋鋼を巡る物語。猥雑で強かで、下品で軽薄で、それなのに目が離せないまっすぐなものに貫かれているのは否めない。劉鎮の街のゴシップ好きな人々のパワーと喧騒も物語の背景を固めている。恋に、仕事に、全身全霊で立ち向かう李光頭の直情径行な言動も、己を信じる馬鹿みたいな自信も、渦巻く欲望のままに突っ走る快感を読み手にも与える。対して宋鋼の零落がやるせない。兄弟愛の深さ、大きさも桁違いの悲劇であり喜劇だ。2021/10/12

かながわ

7
40年…その中で人は酷くなり優しくなり賢くなり軽薄になる。魂は生臭いものと分かっていてもやりきれない。2022/07/04

トト

5
中国原作上下巻を1冊にした1000ページに亙る長編小説。上海に近い町を舞台に、文化大革命から超高度成長期を生きた血の繋がらない兄弟を主軸に描かれる。陽気で陰湿、軽くて重厚、ゲスで荒唐無稽なエピソードの乱列。大きな中国なら有り得るかもと錯覚させられ、真実と虚構の境界を彷徨う。日本の作家には書けない逸品だと思います。2021/08/13

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