岩波新書<br> ブッダが説いた幸せな生き方

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岩波新書
ブッダが説いた幸せな生き方

  • 著者名:今枝由郎
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 岩波書店(2021/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004318798

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内容説明

暗く厭世的に思われがちな仏教.しかし,その開祖ブッダはそんなにマイナス思考の人だったのだろうか.若いころから仏典に触れ,パリで研究をする一方で,仏教国ブータンに長年生活し,チベットの人々の間に生きる仏教に親しんだ著者ならではの,ユマニスムにも通じるブッダの教えの読み解き.

目次

凡例┴はじめに┴一章 仏教徒は幸せ┴人は自分が一番愛おしく,幸せを求めている/苦しみをなくすことではなく,超越すること/子を亡くしたキサー・ゴータミーの悲しみ/「第二の矢」を受けず/シャーリプトラとマウドガリヤーヤナの死/ブッダは開祖ではなく道案内/古道の発見/ブッダは人としてよりよく生きる道を教えるのみ/仏教徒は幸せ/輝く顔/強制ではなく,魅きよせる 仏教の伝播┴二章 ブッダの生涯┴誕生/青春期/結婚/出家/マガダ国王ビンビサーラとの出会い/瞑想と苦行/目覚め/説法の躊躇と決意/最初の説法 初転法輪/教化活動/仏教の発展/すべては燃えている(火の説法)/ビンビサーラ王の帰依と竹林精舎の寄進/二大弟子の入信 シャーリプトラとマウドガリヤーヤナ/バラモン教社会における革新的態度/晩年/最期/葬儀/タキシラ 西洋と東洋の接点┴三章 ブッダが「目覚め」たこと ものごとのありのままの姿┴ブッダの教えの編纂と伝承/ブッダのアプローチ 苦楽中道/信仰ではなく理解と実証による信頼/ブッダの教え方/疑念の払拭/如理作意と如実知見 ブッダの考察方法/抽象的論議の無益性 経験論的合理主義/苦しみの本質(苦諦)/苦しみ/縁起/無常/無我/苦しみの生起(集諦)/三毒 苦しみの根源/執着/苦しみの消滅(滅諦)/ニルヴァーナ(涅槃) ことばを超えたもの/ニルヴァーナ 今の生で体現するもの/苦しみの消滅に至る道(道諦) 八正道/三学/カルマ(業)=チェータナー(意志)/心の修養/シャマタ(止)/ヴィパッサナー(観)/四無量心/ユマニスム┴四章 仏教徒の生き方┴誰にでも実践可能な生き方/一切衆生悉有仏性/出家者集団(僧伽)/三宝帰依/五戒/生活規範/殺生/肉食/暴力/飲酒/破滅への道/賤しい人/よき友/人情/社会的,経済的側面/政治的側面 「国王の十責」/七仏通戒偈/まとめ┴終章 現代と仏教┴仏教の変遷と多様化/ダライ・ラマ十四世/怨みは怨みによって消えることはない/仏教国ブータン 理想的為政者/現在の日本と仏教/これからの世界と仏教┴あとがき┴主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

禿童子

33
ブッダ=仏教ではない。長い仏教の歴史でブッダの説いた幸福への道は覆い隠されてしまった。現代に生きているブッダの教えを実践するブータン国王やダライ・ラマ14世の姿が印象的。禅の瞑想(止)よりも、日常生活の中で自分がしていることを意識して行う瞑想(観)を高く評価している。難解な教理はごく簡略に説明している。単なる仏教入門というよりもマインドフルネスへの手引きとして読むべきかもしれない。ニーチェが仏教に傾倒していたことは知らなかった。2022/04/24

原玉幸子

26
私は「仏教的な思想・哲学が、世の宗教的な全て一切を包含する」との仮説に知的浪漫を感じている、仏教贔屓です。それでも、仏教の教えが「慈愛で極悪人も許すべし」と説く一方で、釈尊が「悪い行いをする賤しい人とは交わらない(犀の角のようにただ独り歩め)」と言うは矛盾では、と思う次第。アフガ二スタンの情勢を見る今、狂信的な一神教に崇高さは感じませんし信者の信念を尊重する気も起りません。尚今も「極悪な加害者は極刑にすべし」との感情を持っている私にとっては、穏やかに知的に生きることは本当に難しい。(◎2021年・秋)2021/09/18

れい

9
【図書館】ほとんどは既知の事柄だったが、ブッダがその土地や風習にそぐわないものは戒律を変えてもよいと、柔軟な考え方を示していたことは驚きだった。しかし、それが中道というものだろうとも感じる。幸せは常に中道を行くことにより得られる。2021/08/25

はちめ

7
原始仏教に関する優れた入門書。このような本を通じて日本人が2500年前に実際に生きたブッダの思想に親しむようになって欲しい。日本で発達した鎌倉仏教とは相当隔たっているので戸惑いも大きいと思うが。信仰によって成り立つ宗教ではなく、正しく考えることによって成り立つ宗教としてブッダの仏教はスタートしたことを多くの人に知ってもらいたい。☆☆☆☆☆2021/06/07

うちこ

6
ブッダが生きていた間のこと・その後の歴史がわかりやすく説明されているほか、ヴェーダの伝承との文化的な共通点と違い、ブッダが変えようとしたことやポリシーとして打ち立てたことをヨーガの伝統と比較して読んでもおもしろい本でした。 特によかったのは、ドゥッカの説明。それを「苦」と訳すと、なにか具体的な問題を抱えた状態を想起させるけれど、ドゥッカには思春期っぽいものも含まれています。 「やりたいことが見つからなくて苦しい」は、贅沢な悩みではなく、苦しみの範囲に入ります。2023/11/09

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