内容説明
世界から批判を浴びた「ダイヤモンド・プリンセス号事件」。
その驚愕の真実が、今はじめて明らかに。
神戸大・岩田健太郎教授の「告発動画」は事実とは異なっていた。
官邸の圧力、マスコミ・専門家ら外野からの批判の中で、現場の医師たちは何と闘い、どのように結果を出していったのか。
ダイヤモンド・プリンセス号事件の危機対応の全てを克明に描き出した、迫真のノンフィクション!
目次
第1章 救える命は、必ず救う
第2章 空気を読まないヒーロー
第3章 現場VS専門家
第4章 祝福なき大勝利
第5章 日本のオードリー・タンあらわる
第6章 ただ使命感のために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なかしー
44
小説フロントラインから、実際の詳細な内容を知りたくて読んだ。 各関連人物などからの取材などでかなり情報量が整理されており、分かりやすかった。2025/06/27
99trough99
17
DP号の乗客だった方の体験記も出版されているが、こちらは、DP号の医療対応に汗を流した3人と、その後の神奈川県の医療体制構築に汗を流した1人の計4人への取材を中心に「あのダイヤモンド・プリンセス号対応」を振り返る良書。題名の「世界を敵に回しても」は、あの時に汗を流し、でも世界中から激しいバッシングを浴びたすべての人達(橋本岳さんも!)に共通する心境に違いない。岩田健太郎教授が世界に向けてアップした動画のことも取り上げられているが、決して誹謗ばかりではない冷静な分析調の語り口は素晴らしい。2021/04/04
Hiroo Shimoda
12
立場と視点が変われば正義も変わる。批判ばかりせず、当事者の意見を聞いて対話することが必要だし、報道や出版にその機能を期待したい。2021/05/27
チェアー
6
失敗と思ってきたダイヤモンド・プリンセス号での感染対策。しかし、そもそもの対策の発想が考えていたものと違っていた。感染抑止が最大目標ではなくて、生命を守ることが最優先とされていた。そのことに気づかないまま、この感染拡大が語られ、教訓化されていないことをこの本は指摘している。少し対策チームに肩入れしすぎの感もあるのだけど。2021/06/09
ポルポ・ウィズ・バナナ
2
「PCR検査はする必要なし」はDP号の対応が初手になっているからだな。結局、国は状況に応じて柔軟な対応ができていないということに尽きないか。ここで書かれる「現場が独断で動くことの正しさ」と「岩田健太郎批判」は同じ問題を孕んでいる。ようは根本の国家のシステムに問題があるんだよ。現場が独断で動くことを手放しで礼賛してはいけないし、岩田健太郎の現場批判を批判するのは問題だろう。2021/10/23