内容説明
心臓よ、お前だったのか。指輪がきつくなったのも、爪の形が変わったのも、ペンを握りにくくなったのも、すべて年のせいだし、更年期だし、太ったせいだと思っていた。しかし、心臓よ、お前だったのだな!47歳。これまで仕事も家事も懸命にやってきた。一度も止まらず、脇目も振らず、なにからなにまで背負いながら……。ある日突然体調をくずし、病院に駆け込んだ。診断結果は「心臓弁膜症」。突然人生の大展開を余儀なくされた村井さんがたてた目標は、「ひとりで入院し、ひとりで歩いて、元気に退院する」こと。共感必至の人気WEB連載、書き下ろしを加えて待望の書籍化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
131
体調の悪さは更年期障害ではなかった。生まれつきの心臓病で子どもの頃開胸手術を受けている著者。その時の悪夢が駆け巡る。受診から3ヶ月に及ぶ入院生活そしてその後が描かれている。夫と小学生の双子の息子、飼い始めたばかりの犬さらに仕事と気がかりは多い。まさに青天の霹靂ではあるが名医である主治医あたたかいスタッフに恵まれ快適な個室と幸運だった面も。家族を優先させる生活よりもっとも大事なのは健康で明るく暮らすことという言葉がしみる。子どもの頃の入院の時「兄の終い」の兄さんもきっと寂しかっただろうなとふと思った。2022/11/17
ネギっ子gen
91
4年前の47歳のある日。突然体調を崩し病院に駆け込んだ。診断結果は「心臓弁膜症」。人生2度目の開胸手術を受けることに――。突然、人生の大展開を余儀なくされた村井さんが立てた目標は、「ひとりで入院し、ひとりで歩いて、元気に退院する」こと。「婦人公論」WEB連載に、書き下ろしを加えて書籍化。<息を呑んだ/本来の自分の顔に戻りつつあったのだ/指輪がきつくなったのも、爪の形が変わったのも、ペンを握りにくくなったのも、すべて年のせいだし、更年期だし、太ったせいだと思っていた。しかし、心臓よ、お前だったのだな!>。⇒2021/11/05
nyaoko
81
女の人って、ほんと自分の事は後回しなんだよね。家事と仕事と育児と介護があったらもう、余計に。心臓が悲鳴を上げているのに、命が危なかったのに、それでも更年期だしと済ませる程、女の人は痛みや苦しさには慣れるんだろうなぁ…。実際、うちの親もそうだったし。入院をしてから、術前検査、術後、リハビリ等、とても冷静に分かりやすく書かれていて、これぞまさに作家のサガだなぁと感心してしまった。自分ネグレクト、絶対ダメ!自分ファースト、絶対大事!2022/09/12
sayuri
81
47歳で心臓弁膜症の診断を下された著者の闘病記。年齢的にも、体調不良は全て更年期から来ているものだと思っていた村井さん。異変を感じ病院に駆けつけ、そこからは怒涛の展開へ。想像するだけで痛そうな検査の数々、大学病院への転院、新たな検査、手術、リハビリ。私も100日に及ぶ入院や手術の経験があるけれど、比にならないくらいハードな闘病記だ。めげて心が折れそうな場面でも村井さんは逞しい。自らを諦めが早く楽天家とおっしゃる彼女だが手術直前の潔さと逞しさには尊敬の念を覚える。信頼出来る主治医との出逢いも大切だと感じた。2021/10/11
なゆ
79
そこそこの年齢になったら、体の不調は更年期のせいにしてしまいがち。仲間内の会話でも、ついに来たかなーなんて言い合うことが増える。でも、そう決めつけて放置するのは、「自分に対するとんでもないネグレクト」だと村井さんは言う。ホントはじわじわ進んでた症状も、当人にとっては急に身体中がむくんで歩けなくなって病院に駆け込む、といった感じなんだろう。まさかの入院&大手術&リハビリと闘病生活部分も興味深く読んだが、病気発覚前と退院後の意識の変化にフムフム。そういえば「兄の終い」を読みたかったんだったーと思い出した。2022/06/05