内容説明
「現金化したら、何もかもおしまいやな」。日本最大のダムに沈んだ岐阜県徳山村最奥の集落に一人暮らし続けた女性の人生。30年の取材で見えてきた村の歴史とは。血をつなぐため、彼らは驚くべき道のりをたどった。各紙で絶賛!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
357
日本最大のダムの底に沈んだ、旧・徳山村(岐阜県)に最後まで住んでいた女性を追っかけたノンフィクション。著者は映画監督やフリーカメラマンとして実績があるだけに、8年かけて聞き書きした本書は、そのシーンが目に浮かぶようにリアルだった。電気・ガス・水道なし、小さなほったて小屋の暮らしだが、「こんなええとこ、独り占めしてええんかな」と、大声で笑う廣瀬ゆきえさん。不便さどころか、確かに生きている! 感じがダイレクトに伝わる。「本当の幸せ」とは? この言葉の意味を探すルポだった。2024/10/26
ゲンキ
137
私は、ボランティアグループ「まいばら本と人をつなぎ隊」の代表を務めている者で、今月、米原市近江図書館で、大西暢夫写真展(100点以上もの貴重な写真を展示)を開催させて頂きました。その縁もあって、本書を読まさせて頂きました。写真展でも、米原市や長浜市の伝統工芸を学ぶ機会を頂いて感謝感謝でしたが、本書でも日本最大のダムに沈んだ徳山村に最後まで暮らし続けたゆきえさん(表紙)の取材を通じて、私たちが学ぶことが一杯ありました。何回も泣けました。また時折出てくる写真も、流石カメラマン❗️、感動しました。是非とも🙋2020/12/30
ぶち
113
岐阜県にある徳山ダムは日本最大の貯水量です。この本は、ダムの底に沈んだ徳山村に住み続け、最後の住人となった廣瀬ゆきえさんの生涯を丹念に追ったものです。それを通じて、国の政策に翻弄されながらも、地に足をつけて暮らした人々のことが克明に浮かび上がってきます。そして、ダムに沈む土地から移った移転先で活力を失っていってしまう姿に心が痛みます。原子力発電やダムといった公共事業の進め方とはどうあるべきなのでしょう。都会の人の生活を豊かにするために、地方の人達に犠牲を強いるやり方は、もうやめるべきです。2021/05/21
ちゃちゃ
113
深い皺が刻まれた表紙の老女は、ダムに沈んだ岐阜県旧徳山村の最後の住人、廣瀬ゆきえさんだ。本作は、廃村になってもなお一人で住み続けたゆきえさんの生涯を追いかけたノンフィクション作品。近代化と共に有無を言わさずに進められてきたダム建設。その陰で長年築き上げてきた先祖代々の暮らしが失われ、厳しい自然に抗わず季節の恵みを享受してきた日々が、多額の移転費と引き替えに無に帰す。新居での“便利”なはずの生活は、地縁血縁を断たれたゆきえさんにとって言葉にし難い惨めさや虚しさを残した。“豊かな現代”に一石を投じる力作だ。2021/02/15
けんとまん1007
76
以前、大西さんの「水になった村」を読んでいて、改めて考えることが多い。果たして、本当に徳山ダムは必要だったのか・・その代償はいったいどれほどものなのか。人にとって、故郷とは何か。その土地に根を下ろすとはどういうことなのか。その覚悟のようなものを感じる。一方で、直接、自分に関係ない役人・業者など、札束で相手の人権を踏み躙る姿が醜い。同じことを、嫌になるほど繰り返しているのが、この国でもある。2022/03/11
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