内容説明
本書は、量子統計力学を数学的に厳密な形式のもとに論じることにより、数学的・数理物理学的研究を発展させる礎石のひとつたらんことを目指すものである。数学的準備として、トレース型作用素の理論、ヒルベルト-シュミット型作用素の理論、*代数の理論、C*代数の理論の標準的内容が丁寧に論述される。各章末に「ノート」の欄を設け、発展的話題や関連する事柄にふれるとともに、文献表も提示し、量子統計力学の数学的・数理物理的研究の入り口への案内書としても役立つよう配慮されている。
目次
数学的準備―トレース型作用素とヒルベルトーシュミット型作用素
*代数と表現
C*代数
代数的量子力学
量子的多体系の一般的構造
Rdの有界領域における量子的多体系
有界系の量子統計力学
理想ボース気体―一般論
自由ボース気体
理想フェルミ気体
平衡状態の特徴付けと緩和現象
コンパクト作用素
反線形作用素の理論