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内容説明
20歳の時、51歳の伝説のフォトジャーナリスト、
ユージン・スミスと出会ったアイリーン・美緒子・スプレイグ。
二人は、チッソの工場排水が引き起こす
未曽有の被害に苦しむ水俣を目指した。
世界に衝撃を与えた、人生最後の一枚を撮るために。
取材開始から十余年、それぞれの運命を背負った二人が、
近代化の傷と再生の瞬間を切り取った
濃密な三年間に迫る大河ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
129
前半はアイリーンとユージン・スミスの生い立ちと戦争体験について中盤は水俣病がどのように起きたか、後半はユージンとアイリーンが日本に来て写真を撮りやがてチッソ訴訟にも関わる。そしてユージンの死、彼の写真についてが書かれる。水俣病にのことをよく知っていると思っていたが本を読んでみると知らないことがたくさんあった。このあたりは別の本で復習したい。アイリーンとユージンの撮った有名な写真、母だ我が子を抱いて入浴するエピソードなどが詳しく書かれていた。大企業と被害者の間で起こった様々な問題も取り上げられている。 2021/10/10
ケンイチミズバ
123
水俣も東北も同じ構図。写真の構図のことではない。柳美里さんの指摘される地方の貧しさが危険なものを呼び込む。病気を工場の責任にすれば経済が萎む。土地の恵みより工場がもたらす金の繁栄、その裏にある汚いものに蓋を。人が死んでも金で黙らせる構造です。高度成長期にシステマティックに利用された田舎の犠牲は黙認、無関心に恩恵を享受する私たち。自分の幸せの裏に誰かの苦難があるかもしれないと思うこともない。そこにいるのに姿を消したかのようなユージンの姿勢に被害者は望んで被写体となる。彼が一つの光をもたらす。日本のピエタ。2021/09/22
アキ
104
水俣病・有機水銀中毒の歴史の複雑さを知った。映画のクライマックス「入浴する智子と母」を1971年12月半ばに撮るまでに、アイリーンの生い立ち、ユージン・スミスの生い立ちと写真家としての軌跡、チッソの歴史と高度成長時代の産業優先の政府の態度が集約されて、シャッターを切る一瞬が生まれたことがわかるように構成されている。ユージンの後世に残るために考え抜かれた1枚は、integrity・正直で公正であるという彼の哲学を映すもの。「写真家として2つの責任がある。一つは被写体に、もう一つは写真を見る人々に対して」と。2021/10/10
しいたけ
98
フォトジャーナリストのユージン・スミスと若き妻アイリーン・美緒子の濃厚な3年間。それは魂に訴えかけるような水俣の写真を生みだし、一方二人の魂を破綻させる。水俣病を取り巻く政治や経済・医学界、当時のマスコミや住民の身勝手さに震えて読んだ。あわせてユージンとアイリーンの生い立ちや人となり、二人の関係性が迫ってきて、息をするのが苦しくなった。清濁をあわせ持つのが人の世なれば、写真を撮るにも本にするにも、社会と己れ双方の濁に向き合う覚悟がいるだろう。それは読み手側にもいえること。覚悟のいる読書時間だった。2022/01/23
nyaoko
70
映画を見損ねてしまって失意の中、図書館で見つけた本。ノンフィクションの本が好きなので色々読んでるのだけど、これはここ数年で私の中では一番の大作。ユージンとアイリーンの過去から、出会うまで、そして水俣病の歴史、2人が出した写真集の衝撃とその後、現在に至るまでが記されている。まるで、その運命が決まっていたかのようなアイリーンの生い立ちと、長年に渡って取材を重ねていた石井さんに深く感動した。しかしユージン、男して父親としては最低…芸術家あるあるかもしれないけれど。写真集、どうにかして手に入れて見たい。2021/10/22
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