内容説明
TOKYOFMで先行ラジオドラマ化。コロナ禍で黙殺される社会の実像に迫る切実なるルポルタージュ!
感染者数、ワクチン接種率……コロナ禍が社会に及ぼしている影響は、決して単純な数字だけで表せるものではない。
政治やメディアが連日、数字に一喜一憂する陰で、この国に一体何が起こっているのか?
著者は2020年秋から、「新型コロナ災害緊急アクション」の活動に密着取材。
そこで出会ったのは、SOSを出したくても出せない人、「生活保護だけは嫌!」と表情をこわばらせる人……。
「日本全体の底が抜けちゃった感じがする」
黙殺され続けるコロナ禍の社会の実像に迫る切実なるルポルタージュ。
これは誰しものすぐ隣にある現実――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akiᵕ̈
21
現代における我が国の貧困の実態。コロナによってそれが加速し、職を失い食べるものすら買えずSOSによって市民団体による支援が乗り出す。生活保護が真っ先に浮かぶも、そこに抵抗する人が多いとのこと。この人たちの中には、元はそこそこな会社に勤めていたり、家族との関係がよろしくない人たちという共通点もあったりする。生活保護にあたるケースワーカーが役所の中でもワースト3に入るほど大変な業務というのは、それを題材にした「悪い夏」を思い出す。貧困ビジネスや無抵(無料低額宿泊所)などの悪辣さも恐ろしい。とても由々しき問題。2025/03/27
Koji Takahashi
10
《ホームレス、明日は我が身》 ホームレス支援の書籍は、著者が支援者のものが多く、それらはとても生々しい。この書籍はジャーナリストの藤田さんが支援者に同行して書かれたものである。同行していただけではなく「一緒に手を汚し汗を流す」場面は少なくなかった。だから支援者が感じる怒り、切なさ、悔しさに共感している。そして少しだけ後ろから見て感じたことを冷静に取り上げている。 2021/09/20
ハッカ飴
9
無料低額宿泊所…無底かぁ。貧困ビジネス、なぜ、貧しき人からもっと奪ってやろうと考えられるんだろう。セイフティネットであるはずの福祉事務所が貧困ビジネスの片棒をかついでいる自治体もある様子。前に読んだ(なんの本だったかな?)「人間でいることが恥ずかしくなる。動物だって仲間にはもっと優しくするだろう」ってセリフを思い出す。お金だけ奪われているんじゃないんだな、権利意識もだ。私たちには憲法に謳われた、幸福追求権があるんだよ。2021/12/08
清水勇
7
この本は労働・貧困問題を取材・執筆活動を続けている著者が「反貧困ネットワーク」事務局長瀬戸氏の貧困支援に同行取材して見えた日本の貧困の実態報告。ここまで日本のセーフティネットが機能不全に陥っていることに愕然とした。衝撃だったのは仕事も住む所も無く支援団体にSOSを出す人が生活保護は恥と言う強い思いと、生活困窮者を「無低:無料定額宿泊所」という生活保護費をピンハネされ劣悪な住環境に粗末な食事の悪質な施設に送り込む福祉事務所の存在。政治もメディアも悪いが見たくないものを見ない私達の責任が1番大きいと痛感。2021/10/31
まわる
5
これは他人事ではない。いつ私もホームレスになってもおかしくない。無低と呼ばれるものを始めて知った。無責任な自己責任論など現実を知ろうとしない人たちの戯言なのだと思う。2022/01/10
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