内容説明
死は別れではなく、新しい出発だった。
死霊術ーーそれは死者を蘇らせ使役する魔導の秘奥。
それを繰る術師たちは国にあだなす存在を密かに粛清するという役割をもって、ヴェルサリウスという国家の陰なる基盤となった。
その術師の一人であるウィリアムは、相棒の“死骸”ライニーとともに龍を使役する盗賊の粛清を行うなか、国を、そして死霊術師たちそのものを揺るがす第二の革命の存在を知る。
革命派の襲撃によってライニーを失いかける絶望の底で、ウィリアムは彼女との再会を願った最初の夜の記憶を思い出していく。
これはたった一人の少女のために、死を否定した少年の物語。
第15回小学館ライトノベル大賞・審査員特別賞受賞作!
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
32
死者を蘇らせ使役する死霊術が国家の陰なる基盤となったヴェルサリウス。死霊術師ウィリアムは、相棒ライニーとともに盗賊の粛清を行うなか、国や死霊術師たちそのものを揺るがす第二の革命の存在を知るファンタジー。革命派の襲撃によってライニーを失いかける絶望の底で、彼女との再会を願った最初の夜の記憶を思い出していくウィリアム。ライニーを救うため、革命を阻止するため、仲間の死霊術師・リアと無謀な突撃をするウィリアムの覚悟はなかなかに壮絶で、不可能を乗り越えてみせる彼女に対する複雑で深い絆にはぐっと来るものがありました。2021/09/17
まっさん
25
★★★☆ 小学館ライトノベル大賞審査員特別賞受賞作。 死者を蘇らせ使役する外法を用い、国に仇なす存在を陰で粛清する死霊術師である少年と相棒の死骸が裏で暗躍する野望を打ち砕いていく話。「死霊術師」という単語から想像していたようなダークファンタジー要素はあまり感じられず、むしろ王道ファンタジー展開に加えて王道ボーイ・ミーツ・ガール物とわかり易い物語として非常に読みやすかった。全体的に文章力も高く、良い意味で先が読みやすい物語で読んでいてくどさを感じる事もなかった。 個人的に気になったところは主人公(と中盤→2021/10/10
しぇん
20
少し読みにくく感じるところがありましたが、設定なども凝っていて楽しめました。凝っているせいで、戦闘の強さがイメージしにくかったのかなとも。派手な魔術の方が強そうにみえますしね2021/11/03
のれん
19
亡くなった最愛の人を蘇生する。 記憶を失った死人とそれでも愛を持ち続ける生者、まぁ言ってしまえばベタベタな物語で、もう少し味付けが欲しかったと思う。 死者への冒涜たる死霊術士の後ろめたさがあんまり出てこなし、ヒロインの相棒や騎士もキャラ像をなぞってるだけで深掘りされていないと感じる。 要はキャラや世界観、設定に対比構造がなくて印象に残らない。 展開自体はオーソドックスで東欧をイメージした世界観もイラストと相まって良い。 だが、慣れてる読者としては、やっぱり一冊読んで物足りないなぁと思ってしまう。2021/09/18
サキイカスルメ
13
二人の想いの尊さがすごくて、もう!死者を蘇らせ使役する死霊術師のウィルと相棒ライニー、国家の陰として秘匿されながら活動する彼らのお話。今回は、死霊術師や国を揺るがす革命を阻止していくものでしたね。いつでも死と隣り合わせのシリアスバトルファンタジー。深い絶望に落とされ、それでも1人の女の子を守ることにした男の子とか、好みすぎるんですよ。後半の胸アツ展開が素晴しかったです。敵の背景や想いも描かれてたのも面白かったです。今後、リアや他の死霊術師の過去もでてくるのかなと思うとワクワクします。2021/09/21