ヒトはなぜ「がん」になるのか 進化が生んだ怪物

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ヒトはなぜ「がん」になるのか 進化が生んだ怪物

  • ISBN:9784309291598

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内容説明

「がん」は現代人特有の病ではなく、生物システムに最初から組みこまれたバグである。がん細胞が体内で文字通り「進化」するという、驚きの事実を解明。未来の治療の可能性に迫る!英『タイムズ紙』 年間ベストブック選出。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

97
がんとは生活習慣による現代病などではなく、多細胞生物の基本システムにはじめから組み込まれたバグであり、ヒト以外の多細胞生物にも見られるものである。ヒトのがんの90%が50歳以降に出現するのは、生殖を優先する進化に則っている。70代になるとほぼ全ての細胞にがんドライバー変異がある。危険因子を避ければ生じない訳ではない。しかし周囲の正常な細胞ががんの増殖を抑制している。がん細胞も環境に反応するのだ。神経膠腫の細胞が健康な神経細胞とシナプスを作り正規ルートをハイジャックするなどの最新の知見も知ることが出来た。2021/11/23

DEE

12
細胞分裂をする以上はがんを防ぐことはできないし、寿命が延びればそれだけがんに罹る確率も上がる。 がんを部分的な病と捉えるのではなく体全体で見る。単独の薬で治療しようとするのは、著者の言葉を借りるならショットガンでハリケーンに立ち向かうような無意味なこと。 そうではなく完全に取り除けないなら上手く共存していくという適応療法も今後は必要なのだろう。言葉で言うのは簡単だが、実際に罹った時に何ができるだろうと考えてしまう。 2022/01/17

じゅん。

11
薬を標的に投与することで一時的にガン細胞を殺したかに見えるが残ったごく一部の免疫を持ったより強力なガン細胞が増える。ダーウィンの進化説を用いて細胞にも自然淘汰が起こる事を説明する。少し前にカーソンの「沈黙の春」を読んだがそれとも重なる部分が多かった。ようは、Aを殺すその他の捕食者までも消し去ることで本来なら生きられないAが繁殖する原理だ。様々な比喩を用いているため、理解を助けてくれたし、ガンへの理解も深まった。2022/06/10

はやたろう

11
がんに対する、いやがん細胞に対する認識が変わった。がんは生物の進化と同様に体内で生き残りをかけて進化している。だからこそ、多くの研究がされているにもかかわらず今だに完治は難しい。特に進行性のそれは。さらに医学界、製薬業界のアプローチ、考え方が凝り固まった現状ではなおさらだ。人生が長寿化する中で、ある遺伝学者の言った「ゴールは、十分に生きてがんより先に死ぬことが」が未来なのかな。2022/01/16

マイアミ

8
★★★ 人類史上最も長い期間感知することのできなかった病気ランキング第一位は……「癌」です。と、数世紀後の人類がそんなランキング発表を行っているに違いない。ウイルス感染症には人類が本気になれば僅か一年半でワクチンを開発できたが、癌に関しては未だ完璧な治療法はない。それはなぜか? その問いに答えをくれる一冊だった。そうなぜなのか? それは腫瘍して一塊に見える癌でも遺伝子は一様ではなく、それぞれの細胞が独自に変異(進化)しているためだと言う。癌細胞がそこまで多様だとは全く知らなかったので唖然とした。2021/10/31

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