内容説明
米国資本「WCR ワールドレジスター・カンパニー・リミテッド」の日本法人の営業マン若林は、4人のチーム「さそり」を率い、売上で社内トップを独走していた。売り物は高額の事務用機器(ビジネス・マシン……今で言うところの経理会計システム)。飛び込み営業のスタイルで、モットーは、「殺人以外のことは何でもやる」。ときに犯罪(詐欺)まがいのテクニックと絶妙の連係プレーで、狙った獲物は逃がさない! ターゲットは、くせ者の大地主、老舗旅館の女主人、学習塾チェーンを展開するヤクザの親分、金欲・色欲にまみれた地方都市の市長、そしてカトリック新聞発行人の修道女……。チーム「さそり」の破天荒な奮闘を描く連作長篇。
〈解説〉池上冬樹
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
86
昨今、特殊詐欺という悪質な犯罪が多い。老人から巨額のお金を騙し取る。この本に登場する外資の事務機器販売会社、さそりチームもいわば詐欺チームと言えばそうだが、金持ちなどにチームで芝居を打って商品を売るという読んでいての悪い気分にならない痛快な内容だ。チームで様々な手口、まさにコンゲーム。名作映画『スティング』は見ている側も騙される映画だった。映画を思い出した。この本約50年前に書かれたので内容は少し古くささを感じるものの、著者が一番活躍した時代。今読んでもその展開は素晴らしいと思う。2024/11/18
Inzaghico (Etsuko Oshita)
10
四谷で会報誌の発送に勤しむ修道女に「自動封入封帯機」を売りつけようとするサソリチームの奮闘ぶり(だいぶ方向は間違っているが)がおかしい「”さそり”最後の事件」の最後のオチときたら。エピローグが、チームのこれからを感じさせて明るくてよい。華々しく負けたチームではあるけれど、もうひと花咲かすことができるのではなかろうか。コンゲームの醍醐味を堪能した。2021/08/19
Nobuko
9
リメイクバージョン 1978年の作品らしい 嘘つきで犯罪者になるのを恐れて小説家になったという これまた嘘か誠かの井上ひさしが書く詐欺師のお話2021/08/04
さんつきくん
7
久しぶりに井上ひさし作品を読んだ。昭和50年代に書かれた連作短編集。故に若干古臭さはあるが、すらすら読めるのは作者の筆力があるからか。事務用機械を売り捌く、セールスマン達の物語である。一つのチームを結成し、詐欺まがいのテクニックで売るのである。その詐欺まがいのテクニックが読んでいて面白い。機械をうるため、ターゲットに合わせ、一芝居を打つのである。しかし、逆に裏切られ、騙され、危ない目にあったりするあたりに井上ひさし作品らしさを感じる。鬼熊事件は初めて知った。2025/05/25
kousei
7
著名な作者だが、コンゲームエンタメジャンルの短編集とは意外だった。ちょっと古くさい題材だが憎めない4人組が詐欺まがいの営業で高額事務機器を売りつける楽しい作品。2023/07/26
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