内容説明
「旅の多い人生だ。世界各国、日本各地。ホテルや旅館などの恵まれた寝場所だけでなく、原野やジャングルなどでも寝なければならない」(本文より)。真冬のロシアのホテルで遭遇した信じられないホラー体験、モンゴルのゲルにやってきた深夜の来訪者、ラオスでカビと虫の死骸に囲まれた一夜、一瞬で身体ごと蚊に包まれるツンドラのテント生活など、旅の達人・椎名誠がこれまでに泊ってきた「宿」を振り返り、驚き・発見・恐怖・感動のエピソードをまとめたエッセイ集。地球を股にかけた、オドロキのエピソードが満載!
目次
はじめに
第一章 あとになってフルエルような恐ろし宿体験
第二章 土地に残る「記憶」を感じる旅
第三章 アジア離島宿いろいろ
第四章 シベリア・モンゴル・北極圏 宿泊は時にタタカイだ
第五章 世界のあちこちでこんな宿に泊まってきた
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
69
シーナさんの旅行記は定番のおもしろさだが、本書冒頭のロシア(旧ソ連時代)で体験したポルターガイストがマジ怖い。旅行者を監視しにきたKGBが「ラッキーだったね」とまで言うのだから。読んでみて、何かのトリックでは、とまで思ったけれど、そんなことをしてソ連やホテルが何か得するはずもない。日本の中でさえ、離島でキャンプしたときの怪異がまたすごいのだ。抱腹絶倒の文章が多いという印象があるけれど、シーナ作品はこんな場合、凄みがきいている。怪異ではないが北極圏の蚊は恐怖である。シーナさんの本からの知識は印象が強いのだ。2021/08/03
AICHAN
44
図書館本。オバケを期待して読むと落胆する。オバケらしきものは前半にいくつか登場するだけである。世界各地を旅して回った椎名誠は「世の中には科学で説明できないヘンなものが絶対存在すると」言うが、そう信じるまでになったオバケ体験はそれほどないようだ。私はUFOは何度も見たが、オバケに関するモノは見たことがないし会ったこともない。しかし、私も椎名さんと同じく「ヘンなものが絶対存在する」と思っている。それで興味深くこの本を読んだ。たいがいはレム睡眠時における妄想と思われたが、中にはそれでは説明できない現象もあった。2022/04/02
ホークス
44
元本は2018年刊。宿泊をテーマにしたエッセイ集。「オバケ」の話もメインではないが結構ある。住む人の居なくなった島の墓地には謎の灯り。ロシアの古宿で、出所不明の大騒音に悩まされる。フォークランド諸島の廃屋では本当にヤバいものに遭遇。冒険好きの椎名氏の怪談はなかなか真に迫って怖い。オバケ以外は食事と暮らしの話が多い。モンゴルの遊牧民は牛糞を集めて干して燃料にする。今後はこういう知恵が役に立つかも知れない。極寒の旧ソ連での体験が詳しくて興味深かった。当時のソ連は怪談と違う意味でリアルに怖い謎の国だった。2022/01/13
白のヒメ
31
椎名誠さんが、今まで行った旅先での不思議な話や大変だった体験などのエッセイ。不思議で説明のつかないことってのは、どこの世界でもあるのだなーと面白く読んだ。中には、私が若い頃した不思議体験に近い物もあって、そうそう!そうだったのよ!と膝を叩いて共感する場面も。自分には出来ないような冒険をしている方のエッセイは、非常に興味深く面白かったです。2023/07/27
ちろ
25
冒険作家シーナさんの旅エッセイを初読み。目次から予想した以上にディープエピソードがてんこもり。シベリア、モンゴル、北極圏の宿泊はいろんな意味でハード。自然が厳しい場所は衣食住の全てに無駄がなく理に叶った生き方をしているなぁと。現代の生活に染まりきった私は一泊もできません😅順応する椎名さん凄いです。2021/08/04