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内容説明
フェミニズムの「落とし物」がここにある――。今世紀に入り、日本社会で大きく膨れ上がった「スピリチュアル市場」。特に近年は「子宮系」「胎内記憶」「自然なお産」に代表されるような妊娠・出産をめぐるコンテンツによって、女性とスピリチュアリティとの関係性はより強固なものとなっていった。しかし、こうしたスピリチュアリティは容易に保守的な家族観と結びつき、ナショナリズムとも親和性が高い。本書は、この社会において「母」たる女性が抱く不安とスピリチュアリティとの危うい関係について、その構造を解明する。
【森岡正博氏、推薦!】
「子宮系、胎内記憶、自然なお産。女性たちのスピリチュアルで切実な思いを分析した画期的な本だ。」
目次
はじめに
第一章 妊娠・出産のスピリチュアリティとは何か
第二章 「子宮系」とそのゆくえ
第三章 神格化される子どもたち――「胎内記憶」と胎教
第四章 「自然なお産」のスピリチュアリティ
第五章 女性・「自然」・フェミニズム
第六章 妊娠・出産のスピリチュアリティとその広まり
おわりに
註
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
210
学術論文のような文章はやや難解でとっつきにくい。それでも、子宮系、胎内記憶、自然なお産といった各論はもとより、戦後の(スピリチュアル市場も含めた)宗教がどのように展開し、それらが妊娠・出産(あるいは産まないことも含めた個々の女性の生きかた)とどう関わってきたかなどの流れを興味深く読んだ。スピリチュアリティにハマる女性は愚かなのではなく、むしろそこに現代の生きづらさがあらわれている、という指摘に膝を打つ。ぼく自身、いつ読めるんだかわからない本をジャカジャカ買ってしまうのは、ある種のスピリチュアリティでは⇒2021/10/14
shikashika555
57
女性と子供にとっては命のリスクがある妊娠出産において、スピリチュアルな言説がこんなにも多大な信奉者を集めているなんて。 引用される「スピリチュアル」な論の数々は読んでいるだけで額に青筋が浮いてくる。 よくもこんなデタラメで他人の命をリスクに晒して金儲けをしようとするものだ。ああ腹が立つ。 しかし読み進めると、閉塞した女性の環境を少しなりとも心地よいものにするために始められた論であるかもしれないことに気付いたり、社会参加を前向きに諦めるための方便であったと説かれたり。 切実なものが起源であったのか。2021/10/31
小鈴
43
妊娠出産を体験するとどこかで耳にする言葉がある。子宮系、胎内記憶、自然なお産。なぜこれほどまでにスピリチュアリティに囲まれているのか?一言でまとめちゃうと、子供を生むことが当たり前ではない社会となり、出産の選択が女性に求められ、その責任を負うからだ。伝統的な社会のように、生むのが当然で産むシステムに包摂されていた時代ではなくなり、出産を肯定するものがスピリチュアリティくらいしかないからだ。男女平等を求めて戦ったフェミニズムは、出産育児には寄り添わない。優しく寄り添うスピは、男の存在すら希薄する。 2021/09/12
ふみあき
28
「子宮系」や「胎内記憶」等、近年流行りのスピリチュアリティには現状肯定的な志向があり、保守主義と親和性が高いので危険、という主張は正しいと思う。「自然なお産」を奨励する医師による「周産期死亡を減らそうと思うこと自体が、神に対する反逆」だなどという、人命軽視の発言には心底怖気が走る。が、それを批判するのはフェミニズムという別種のイデオロギーではなくて、科学的知識の役割のはず。著者が「卵子の老化」(つまり高齢出産のリスク)の啓発を「医療に基づくイデオロギー」と断じ、また妊娠出産の社会的意義を軽視するのは問題。2021/08/25
松本直哉
25
子育て時代この種の言説の荒唐無稽に呆れて、妻も忠告に逆らって短いスカートをはいていたのを思い出す。著者の指摘の通りこの流行がフェミニズムの退潮と相前後したのは偶然でなく、フェミニズムへの失望、と同時に、抑圧的で無能な男たちへの失望が、最後の砦としての身体に逃げ込むことを強いたのだろう。しかし一方では、もっともらしい学説で女性性を寿ぐ男性医師たちを無批判に受容する傾向もあり、彼女らは心のどこかで白馬の王子様的な何者かを求めていて、それは夫を見捨ててジャニーズを追いかける心情にも通じるのかもしれない。2022/03/08
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