内容説明
年をとるって、かくも愉しく忙しい――。
スタイリストとして70~80s『アンアン』『オリーブ』『クロワッサン』の草創期を駆け抜けた半生と、熊本ではじめた62歳からの仕事と暮らし。
映画と雑誌が大好き、夢は自分好みの部屋に暮らすこと――。
18歳で始めた東京暮らし。初めて就職した『スクリーン』編集部での映画三昧の毎日。
憧れの大橋歩さんのアシスタントを経て、『アンアン』の編集見習いに。
そして流行発信の最前線でインテリア・スタイリストの草分けとして目まぐるしく駆け巡った日々……。
人生ってなんだか偶然と突然の連続。
還暦過ぎて地方暮らしを思い立ち、熊本へ帰郷。
転がり着いたこの地で新しい仕事もいざ始動。猫の世話、庭仕事も忙しい。
73歳となった一人暮らしの達人が、人生折々に見つけた“年をとる愉しみ”について綴るエッセー。
【目次】
■ はじめに
Ⅰ 転がる石のように
1 住みたい部屋を思い描いて
2 東京の街 みちくさ歩き 60s
3 映画が教えてくれた 70s
4 スタイリストになる 70s~80s
5 暖簾を下ろして筆一本 90s
Ⅱ あたらしい土のうえで
■ 家に帰って
■ 揺れる日々
■ 街をされく
■ 始まり
■ よりどころ
■ 私の朝は猫仕事から
■ 家を繕う
■ 我が家の庭のささやかな歴史
■ 母の器たち
■ 真夜中の新聞
■ 70歳の夜のひらめき
■ 老後の仕事 私の場合
■ ヒルデガルトの長いお話
■ 人生は小さな愉しみのつづれ織り
■ あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kei
120
スクリーン、アンアン、クロワッサン、村上春樹、と、ずっとなにかしら目にしていた著者。上京して、激動の時代に憧れの職、編集者やスタイリストになって、華やかな世界に。しかし、出版界の不況の中、親の介護や自身の老いで帰郷。フリーランスの老後の金銭事情や独り身の不安も正直に。なかなか綺麗事ばかりではない団塊の世代の生き方です。インマイライフ、色々あるさ、ね。(笑)ちょっと身につまされて、穏やかな気持ちになります。2021/11/21
ぶんこ
60
若かりし頃に憧れていた吉本さんの今が綴られていました。勉強よりも映画が好きだった吉本さん。高卒後の進路に迷った時は、偶然目にした雑誌でセツモードセミナーを知って上京。そこから交友関係が拡がり、道を歩いては偶然の出会いからの楽しい仕事へ。仕事が飽きてくるタイミングでまたも道を歩いて知人に出会い、新たな仕事を得る。その繰り返し。実に面白い。楽しいことを堪能しては次の楽しみへと全力を尽くした結果、貯え僅かで老後を迎える。でもお金ではない人脈という貯えが凄い。私とは真逆な人生だけに、魅力的で興味深い。2022/03/03
tetsubun1000mg
53
熊本市で書店と喫茶店を営みながらエッセイ本などを書いている田尻久子さんとの共著エッセイ「熊本かわりばんこ」を読んで初めて知った吉本由美さん。 還暦になって実家に戻って住むことになった元編集者・スタイリストという事だが、無駄がなく大変読みやすい文章。 元編集者だけあって自分のこれまでの履歴などを入れながら、読み手を引き込んだりちょっこしたボケなどを入れてドンドンと読ませてくれる。 文章の組み立てが大変上手いのが良く分かる。 田尻久子さんとの出会いから橙書店でほかのお客さんと助け合いが広がっていくのも面白い。2024/03/11
とよぽん
48
読友さんの感想を読んで。吉本由美さんのことを何も知らなかったが、前半と後半がそれぞれ人生の上り坂と下り坂を描いているようで劇的な内容だった。フリーランスで40年余り東京に暮らし、高齢のご両親が暮らす故郷の熊本市に戻って10年余り。いろいろな人との出会いや時流の影響、雑誌出版業界のこともフランクに綴ってある。ご実家の庭の手入れや家の維持費が相当の額になることに悩んでおられたが、周りの人に相談してみると意外な解決策があるものだ。少し先輩の吉本さんに、これから先の生活を楽しむ術を教えられた。2025/02/09
のんぴ
34
インテリアスタイリストとして、有名な雑誌で活躍されたが、年をとって仕事が減り、都心での生活が経済的に難しくなるのに思い当たり、実家の熊本に帰り、親の介護を経て、実家で猫と暮らす。色々持っている人だなという感想。自分の気持ちに正直に、全力で突き進むと、縁も機会もついてくる。楽器演奏や庭仕事などを一人で楽しむと同時に、魅力的な友人にも恵まれ、日々の小さな感動をインスタに投稿。取材や執筆など自分にちょうどいい量の仕事をして、うらやましい。自虐でも自慢でもない文章も好感が持てる。2023/04/16




