- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
「自分のすべきことを誠心誠意なすべきである。他者に振り回されてはならない。自分というものをよくよく知った上で、為すべきことを為せ」。仏教のバイブルとも言われる『ダンマパダ』。ブッダが在世時に話していたとされる短い金言を集めた、メッセージ性の強い経典である。世間って何? 仏教特有の倫理とは? 苦の連鎖を断ち切る方法とは? テーマに沿った偈頌を抽出し、大胆にわかりやすく解説。ユーモアに溢れた仏教の入門書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホシ
19
釈先生よる仏教概説書。『ダンマパダ』自体の解説書ではないですが、とても良い一冊。四諦とか八正道とかは見知ってはいましたが、すっかり忘れていたし、四無量心も実践できていない自身を反省しました。仏典の言葉を、その時は有り難いと思っても雑音溢れる日常生活にあくせくしている間に忘れてしまう私。情けないと思いつつも出家者でない限りはこういう形でしか仏法を聞いていけないのだとも思います。「求める心さえあれば目の見えるところ、耳の聞くところみなことごとく教えである。-華厳経-」雑音の中に仏の声を聞く人になりたいです。2022/11/06
西
13
「われらは、ここにあって死ぬはずのものであると覚悟しよう。このことわりを他の人は知っていない。しかし、知る人々があれば、争いはしずまる」。このことを決して忘れないように生きていきたい。自分が執着しているのではないか、それにどれだけの価値があるのか、間違っても、後で気付けるようになっていこう。釈さんの講義を実際に受けているようにすっと心に入ってくる良書。何回も読みなおしたい本。しかし、人の悩みは、時代がうつっても変わらないというか、古びないブッダの教えが凄いなと思う2021/12/21
百栗豆茶
4
ダンマパダ講義。とても理知的な本。私たちは自分という枠組みを通して物事を判断し、感情を生み出している。苦しみを生み出すのは「執着」であり、その「執着」を生み出すのは「はからい」である。「苦しみ」は結果であり、結果だけを何とかしようとしても無駄である。智慧とは「はからい」と「執着」を捨てること。何も足さない、何も引かない。自分を自分以上のものに見せる必要もなければ、自分以下に見せる必要もない。「今・ここ」にしか私は存在しない。現在ただ今の一瞬しか世界は存在しない、と説きます。良書だと思います。2023/02/06
amanon
4
ダンマパダという初期仏教の重要な経典を精読する内容かと思いきや、著者自身が言及している通り、かなり脱線が多い。話があちこちに飛ぶ傾向があるが、それはそれで楽しめたか。とにかく著者の軽妙洒脱な語り口が魅力。それと同時に、仏教の魅力も伝わってくるのはさすが。仏教信者ではない人に仏教の魅力を伝えることができる。それだけでもすごいことなのかも。そういうことができる背景にあるのは、著者の他の宗教に対する深い知識と理解、そして尊敬の念だと思う。ただ、経典を理解するには音読が必須なのだが、そこを怠ったのが、残念。2022/02/07
Ise Tsuyoshi
4
「ダンマパダ」を手がかりとした仏教講座の書籍版。ダンマパダ自体の引用は思ったほど多くはなかったが、経典の成り立ちや仏教と他の宗教との比較、日本の浄土仏教の特徴にも触れていて、初学者には分かりやすい。「縁起の法則は、たとえブッダが出現してもしなくても、厳然としてある」「仏教とは『信じていても、信じていなくても、共有可能な部分がある』宗教」(p.202〜203)「強固にもっている枠組みを点検していくプロセスを経ることによって仏道がはじまります」(p.217)2022/01/23