内容説明
高校で文系と理系に振り分けられ、結果、理系の知識が乏しい人たちが社会を動かす官僚や政治家などになり、一方の理系学生といえば、世の中のことに無関心で、興味あることだけに取り組みがちだ。しかし、「これではいけない。日本のリーダーにもっと理系の人材を」。2011年、そんな思いを込めて東工大は「リベラルアーツセンター」を発足した。あれから10年。日本中から注目を浴びる東工大の挑戦のすべてをここに明かした。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
陰翳rising sun
16
自分の学生時代を省みて、今の自分を見つめ直すきっかけになった。科学技術が飛躍的に進化する現代は、最新の知識や技術は5年ごとに更新される。せっかく覚えても、すぐに身に付くものはすぐに役に立たなくなる。そんな中で求められるのは真の「教養」。簡単には身に付かないが時代を越えて残り続ける仏教、キリスト教、古典文学、哲学など。会社でただ数値のノルマを達成するのではなく、自分に必要なことが何かを考える。大学でも教養になる授業を受ければ良かった。楽に単位をとれる「楽単」に甘んじたことを深く反省した。早く出会いたかった。2021/10/20
mintia
15
東工大の教授が、「人間にはにじみ出る教養が必要だ」が言っていて、なるほどと思った。確かに世界のトップ中のトップなら専門バカでもかまわないが、「教養人」でないと人から尊敬されない。2021/11/12
sugarpon
8
東工大でリベラルアーツ教育に力を入れる決断をしたというのは凄いことだな~。確かに、今の時代は新しい知識を獲得してもすぐに陳腐化する。だからこそリベラルアーツを学ぶことで人間の根っこを太くし、多様な知識を運用して進むべき道を見つける力をつけるのは大切ですね。社会科=暗記科目というイメージを植え付けられた自分がちょっと悲しくなります…。2021/11/15
とある内科医
7
教養とは多様な知識を運用する力。 わきまえるな、子どもたちを丸く削るな。 理系と文系の知の分断という問題意識。 Be your whole self. とがっている人ほど、丸い。 大学生からはかなり遠くなってしまったが、少なからぬ医師達は本書で語られるようなリベラルアーツの重要性に気付いています。 どこに向かうべきかはわかりませんが、だからこそ本を読んでいます。2021/08/11
タナカとダイアローグ
6
とがった人間が集まって連峰になるイメージ。平均的に能力が高い集団よりも、一芸に秀でた集団が得意を生かして不得意を補うイメージ。とがった人間は他の分野とも繋がることができる。この感覚は、例えばイチローっていう野球の求道者と仏教とか物理学の権威とも繋がれるようなイメージ。役者とかも(実際イチローは演技がうまい)深さ、水脈のメタファーで捉えていたけど、とがりも加えて考えられるようになった。とがりが集まると大きな丸になるかもしれない。教養って言葉に色がついているなんてもったいない。リベラルアーツって言葉がハマった2023/01/27