ケアの倫理とエンパワメント

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ケアの倫理とエンパワメント

  • 著者名:小川公代【著】
  • 価格 ¥1,562(本体¥1,420)
  • 講談社(2021/08発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065245392

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内容説明

自己と他者の関係性としての〈ケア〉とは何か。
強さと弱さ、理性と共感、自立する自己と依存する自己……、二項対立ではなく、そのあいだに見出しうるもの。ヴァージニア・ウルフ、ジョン・キーツ、トーマス・マン、オスカー・ワイルド、三島由紀夫、多和田葉子、温又柔、平野啓一郎などの作品をふまえ、〈ケアすること〉の意味を新たな文脈で探る画期的な論考。

本書は、キャロル・ギリガンが初めて提唱し、それを受け継いで、政治学、社会学、倫理学、臨床医学の研究者たちが数十年にわたって擁護してきた「ケアの倫理」について、文学研究者の立場から考察するという試みである。(中略)この倫理は、これまでも人文学、とりわけ文学の領域で論じられてきた自己や主体のイメージ、あるいは自己と他者の関係性をどう捉えるかという問題に結びついている。より具体的には、「ネガティブ・ケイパビリティ」「カイロス的時間」「多孔的自己」といった潜在的にケアを孕む諸概念と深いところで通じている。本書は、これらの概念を結束点としながら、海外文学、日本文学の分析を通して「ケアの倫理」をより多元的なものとして捉え返そうという試みである。(本書「あとがき」より)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

フム

40
育児や介護などのケア労働の多くは女性が担い手であり、社会全体でそれらのケアを引き受けるような政策を取らないかぎりは、今後もこの状況は変わってはいかない。そのためフェミニズムの思想は女性達がケア労働を自ら進んで担うことに批判的だった。そういう批判は社会の公正や正義につながるとわかっていても、女性の一人としてはつらく聞こえることもある。しかし、長い間軽視されてきたケアという活動が、今、問い直されているという。グローバルで多様な価値を認めようとする社会においては、他者を阻害し犠牲にするような絶対的な正義ではなく2021/09/18

jackbdc

11
オーディブル再読。ケアの倫理という言葉を初めて知った。フェミニストが中心になって発展させた比較的新しい概念であるという。何となく有機的で進化生物学的な匂いを感じた。二項対立で捉えると面白い対比構造が描ける事を知り興味が沸く。上手く行かない現代社会に欠落する要素を炙り出せるのだろうか。例えばマッチョな男性社会、全てを数値換算し損得勘定にまみれる資本主義社会に対して、カウンターの一発をお見舞い出来るのか正直分からないが期待してしまう。もっとも十分には理解出来なかったので今後さらに考えてみたいと思った。2022/05/08

くろねこ

10
文学研究者の立場から「ケアの倫理」を考察したもの。多孔的自己、両性具有的あり方などなど、いまジェシカ・ベンジャミンも読んでいるので、そちらとも繋がり。さらに文学の中で何がどのように表現されてきたのか、作者の思い、あり方などの視点に拓いてもらい、刺激を受けました。こころに残る引用も多々。多和田葉子さんの「献灯使」も読んでみます。2021/09/28

sawa

7
う~ん。2章・3章が飲み込みづらかったです。差別に苦しむ人への思いやりがケアなのか、思いやりというケアがあれば差別はなくなるってことなのか、混乱しました。確かに思いやりというケアは大事だけど、思いやりがあれば当然でしょという理屈で押し付けられがちなのがケア労働なので、なんだか警戒してしまいます。ケアラーには適正な報酬を!差別には撤廃のための法整備を!とだけ思ってしまうのは、ネガティブ・ケイパビリティが足りないかしら、資本主義に毒されているかしら。2021/09/29

manabukimoto

7
Carol Gillianの提唱する「ケアの倫理」。思いやりや共感や関係性を大切にする在り方。 オスカー・ワイルドと三島由紀夫を論じることでクイアが生きにくい時代における彼らの生き様を知る。アンデルセンの「人魚姫」の寓意や、幸福の王子と金閣寺の「金箔で包まれたモノの一回性」という繋がりにも目から鱗だった。 コロナ禍でニュージーランドのアーダーン首相やフィンランのマリン首相に見られるケア性を含んだ政治性というのが興味深い。新たな概念として「ケアされる権利」が論じられるきっかけに本書がなればと思う。2021/08/26

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