内容説明
子供から老人までが熱狂する神楽、「荒神様有り」と記された不思議な不動産広告。神話を信じて卵を食べない町や、なぜか観光客が絶えない謎の町。出雲・石見・境港。旅するうちに見えてきたのは……。目に見えない存在を信じる暮らしや、伝統を支える持続可能な知恵、遠く東南アジアにまでつながる文化の〈地下茎〉だった。そして旅は、温かい涙が流れるクライマックスへ。『どこにでも神様』改題。(解説・志川節子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こつ
13
10年前に読んでいたら鼻で笑っていたかもしれません。この世には不思議なご縁が目に見えない力が働いているとしか思えないことがあります。読んでいてふと思い出しました。鳥肌ものです。出雲神社の力は凄いです。2022/04/01
NY
10
かつて大和民族に敗れた神話の国、出雲。今なお進化を遂げ、人々の心をとらえ続ける石見神楽。文化も気質も異なるが、いずれも「目に見えない」世界と深くつながっている。神の世界へと誘う地上の扉。俄然、「島根」を訪れたくなった。2021/09/29
rincororin09
3
面白かった‼️あえて持ち出せば、民俗学とか文化人類学とか、あるいは考古学、史学などといった学問分類に手がかかる世界を、読みやすく軽々と飛翔している。 そして「目に見えないもの」が「これである」とは断定していないのがミソ。でも、なにかそういうものはある、と僕も思う。各自がそれぞれの「見えないもの」を自分で掴んでいくしかないのかも。 父親の葬儀の日に神楽を舞う最終章のエピソードには涙を禁じ得なかった…。2021/10/24
ぺんぐぃん
3
堅苦しい話は少しだけ。今はやりの「神社ガール」と由緒ある出雲大社周辺の神社や水木しげるロードを回り、何故今若い人達を神話の世界が惹きつけるのかを考察したノンフィクションというよりエッセイ。確かに数年前に訪ねた出雲大社には独特の世界。特に古代出雲歴史博物館の出土品や当時の出雲大社の縮尺模型は圧巻で、感動!また水木しげる氏との不思議な縁。そして石見神楽は地元の人達の熱量が半端なく、読み応えもあって、アジアにおける日本も実感する。石見神楽の部分はドキュメントという感じ。出雲と大和の盛衰にも興味がわいた。2021/09/29
Kitayama-koubou
2
神等去出祭の日には「今晩は、神さんやちが、なおらいしてデレンデレンいわかしちょられぇけん、夜中に目を覚ましても外見ぃだないよ」と小学校で習う(ン十年前)。それが出雲世界。2021/11/14