内容説明
目はよわり、記憶はおとろえ、蔵書は家を圧迫する。でも実は、老人読書はわるいことばかりではないよ――。鶴見俊輔、幸田文、須賀敦子……。長い歳月をたずさえて読む本は、豊かで新鮮なよろこびに満ちている。親しい仲間や敬愛する先達との別れを経験しながら、それでも本と出会い続けよう。本を読み、つくり、書いてきた読書人が、その楽しみを軽やかに綴る現状報告。読売文学賞受賞作!(解説・鈴木敏夫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
110
歳を重ねるとこの津野さんのようにマイナス思考が出てくるのでしょうか?私より10近くお年ですが、この読んでいる本を見ているととてもそんなことは感じさせない気がします。最後の最後まで読書への意欲はとても衰えることは二と感じます。私も見習う必要があると思います。幅広い分野の本を読んでおられます。題名も「最後まで読書」に変えた方がいいのではないかと感じました。2022/02/18
じいじ
91
タイトルと帯の惹句《あと何冊読める?》を、偶々店頭で見て、即買いをした。ズバリ、私の胸中を言い当てていたからである。津野海太郎氏の著書は、もちろん初読み。当初の目論見とは、かなり違っていたが、共感する箇所が多々あって面白かった。読み終えて、どう老いてゆこうか?ーを深刻に考えるのは止めにした。ボケ、モウロク…など誰にも訪れる《老いの目印》を、怖がらずに生きていこうと思う。2022/03/03
カブ
47
目はよわり、記憶はおとろえ、蔵書は家を圧迫する。身につまされる。この頃、あとどれくらいの本が読めるのか、期限が限られているのを感じていたけど、読みたい時に読みたいものを読んでりゃいいじゃん、と何となく感じさせてくれた。2022/01/13
つちのこ
30
そろそろ最終コーナーに差しかかった私には、他人事ではない。残りの読書人生をどう送るか?これは悩み多き問題。80歳を過ぎた著者は日々この悩みを抱きながらもワッセワッセと精力的に本を読みこなし、原稿を書く。まったく感服。病床の鶴見俊輔は死の間際まで読むことにこだわり、紀田順一郎は蔵書を手放す無念さを嘆く。目が衰えるまでにあとどれだけ読めるか。あれも読みたい、これも読みたい…私にとって五体に染みついた読書習慣はもはや衣類と一緒。決して脱ぐことはない。知識欲を掻き立てる本がある限り、どんどん着ぶくれしてやろう。2021/11/03
小太郎
27
これは帯の甚句に惹かれました「あと何冊読める?読書人生最終章の厄介とたのしみ」名前だけは知っていたのですが本を読むのは初めての津野さん。私より随分年上なんだけど読書にまつわる色々なことが大変身につまされました。まず老眼、それに記憶の衰えによる色んなこと、そして蔵書の整理。この本読んで私もこれから一体どうなるんだろうと考え込んでしまいます(笑)歯切れのいい文章で自らの読書体験や広い交友関係のエピソード満載の良質なエッセイでした。 特に私の敬愛する瀬田貞一さんや須賀敦子さんの話がとても良かった。2021/10/01