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内容説明
新聞は若い世代に読まれず、テレビは視聴者離れを憂い、綺羅星のようなライターを生み出してきたいくつもの雑誌の休刊が相次いでいる。ニュースはコストがかかる、という理由で十分な取材費を出せず、ニュースを巡る環境は悪くなっていくばかり……と誰もが思っているなか、本当に希望はないのか。これらのメディアの未来とは? ネットメディアの功罪を踏まえながら、気鋭のノンフィクションライターがニュースの本質を問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
60
良いニュースは、謎、驚き、批評、個性、思考があるものを指し、特定の陣営(イエスかノーかの対抗軸)を満足させるだけのものではない。それだと、自分たちの信念に合致するグループ内でシェアされて終わる可能性があるからだ。具体的な例としては沖縄の基地や福島の原発問題などがそうなりがちである。著者は筑紫哲也氏は尊敬できる点はあるが、物事を善悪の二項対立で捉えがちであるとの短所を指摘している。私は権力に媚びるよりは反骨の方がマシなのだが、軽々しく民の視点こそ絶対的な正義とする意見には違和感を覚えている。2021/08/31
ころこ
42
ネット時代にフェイクニュースが問題になり、他方で高齢化による新聞離れが進んでいく中で、ニュースのあり方、見方を再考する本です。テクノロジーが発達した時だからこそ、ニュースの送り手受け手双方が意匠に騙されないで本質を見抜く力が試される。従来通りの古いことが書かれていますが、人文学で古典を読み返し、時代に応じて読み替えることと同じことが行われています。送り手の立場に立つのはメディアリテラシーを養うためでもありますが、新聞から供給される送り手の質の低下、人材の枯渇による生態系の破壊への危機感の表れでもあります。2021/08/18
こも 旧柏バカ一代
35
フェイクニュースを駆使して政権を取った(?)トランプ。(1期で終わった)それを利用して遂に戦争を開始したが一般市民のSNSの反撃で苦戦しているプーチン。世の中の情報収集の仕方が変わり、ボルトネックだった新聞、テレビ、ラジオなどのニュースのあり方も変わって来た。それに対応しようと足掻くが上手く行かず楽な方に堕落する大手達。それを利用する行政、、どうやって速く、質の良い情報を手に入れるか。どうやってフェイクニュースに踊らされ無いようにするか、、本当に恐ろしい時代になったと痛感中。2022/03/19
nbhd
20
普段メディアの仕事をしている僕は、石戸さんの「取材記事から“こぼれおちたもの”を愛おしくおもう気持ち」を感じて、熱くなった。良かった。この本は、各種メディアの特性や組織を無視した“ジャーナリズム魂”にもとづくジャーナリズム論とは毛色が異なる。新聞やネットメディアの記者として経験した失敗や迷い、痛みと向き合ったうえで、それでもなお…、と未来のニュースの方法論を前向きに整理していく。それは「“こぼれおちたもの”からの構築をフォーマットとする手法」と言えるかもしれない。まっ、現実社会は、なかなか厳しいのだが…。2021/09/24
おっとー
12
深い調査もなく万人受けするニュースを発し、読まれた数だけを競う、いわゆるバズることだけを重視する昨今の世界から一線を画したニュース論。良いニュースは謎、驚き、批評、個性、思考があり、時間が経っても興味深く読まれるものである。そしてこうしたニュースを産み出すには現場に赴き、人の話を丁寧に聴くことが欠かせない。ニュースの形式はテンプレ化した客観的速報も大事だが、柔軟に分析や物語を織り混ぜることも重要である。一喜一憂し、あっという間に消費されるニュースではなく、咀嚼するほど味の出るニュースが求められている。2022/01/19
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