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内容説明
人の最も身近な自然環境は「腸内環境」であり、そこは人が根を下ろす「土」にあたる。土壌に暮らす微生物が腸内細菌の起源であり、人は食べることを通して外的な環境と接続しているのだ。本書では腸内環境と心身の不調の関連について最新情報を伝えつつ、人と地球の土を同時に改良する食べ物の選択の重要性と方法をプラネタリーヘルスの観点から説く。近代農法や畜産が環境に与える影響と、それを解決する農業や食の未来も伝える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
67
微生物の存在は、自分が思っている以上に大きなものがある。人の体内にもあるし、土の中にもある。あるというか、不可欠なものだと思う。人は食物をとることで、命をつないでいる。それは、1個人としてだけなく、世代をつなぐという意味においてもだ。自家菜園をやっているので、土のことは気にしているし、作る野菜にも気を配っている。自分や家族が安心して食べることのために、できることはやっている。農薬を使わないこと、有機肥料や堆肥もそうだ。いろいろ考える材料がある。2023/01/06
きみたけ
65
著者は、tenrai株式会社代表取締役医師の桐村里紗先生。臨床現場において最新の分子整合栄養学やバイオロジカル医療・腸内フローラ研究などをもとにした予防医療、生活習慣病から終末期医療まで幅広く経験。腸内環境と心身の不調との関連について、人と地球の土を同時に改良する食べ物の選択の重要性と具体的方法を「プラネタリーヘルス」の観点から説いた一冊。プロバイオティクスのまとめ。発酵調味料の活用、少量の漬け物、キムチの乳酸菌、納豆は腸内細菌を元気づける。ラピュタの「土から離れては生きられない」のセリフが印象的。2024/02/25
tamami
57
腸と森、という組み合わせが珍しく手に取る。地球の緑が土という培地から養分を受け取り育つように、人は腸という臓器を通して栄養をもらい生きている。著者は、類似する二つの仕組み、土が生命を支え、腸が身体を生かしているということの本質を、「人は自然であり、腸内に土を持つ」「腸内の土の悪化が、心身にもたらす病」等の章立てで繰り返し説くとともに、将来の自分の身体や地球の自然の再生に向けて取り組むべき方向、事柄を示す。一人の食がもたらす可能性はごく僅かでも、多くの人々が毎日繰り返す「食」の選択は、時を経て大きな影響を→2021/08/31
ぱるる
48
人の食べ物から栄養を摂るシステムが森の落ち葉や動物の死骸から腐葉土が作られるシステムと同じということにまずはっとさせられた。心身の不調は腸内環境の悪化によるところが大きいこと。私たちの日々の食の選択が農業や畜産を通して地球の土にも甚大な影響を与えると同時に「腸の中の土」にも影響を与えていること。温室効果ガス削減にはエネルギー問題より何より食糧分野の解決策のほうがより有効であること。「微生物と共に生きる」選択が鍵であること。断片的な知識がつながる多くの学びがある良書でした。おすすめです。2022/11/19
T2y@
40
良書! ‘’人は森であり、腹に土を内包している。‘’ 偏った動植物の接種を改善する「プラネタリーヘルスダイエット」で身体と生態系のアンバランス改善。 内なる腸環境と、外的自然環境の関係。そして生態系多様性の重要度。まさに腹落ち。2021/12/09