内容説明
意味はわからずとも,まずは五七調のリズムの心地よさをたっぷり味わい,ことばの響きを楽しもう.『万葉集』の和歌から昭和初期の短歌,俳句まで,くりかえし口ずさんでほしい約二〇〇作をえらんだアンソロジーです.それぞれに短い鑑賞の手引きをそえました.
目次
星の林に月の船 声で楽しむ和歌・俳句┴まえがき┴星の林に月の船『万葉集』から┴都ぞ春の錦なりける『古今和歌集』『新古今和歌集』から┴舞へ舞へかたつぶり中世の詩歌┴鼠のなめる隅田川江戸の詩歌┴柿くへば鐘が鳴るなり明治以降の詩歌┴初句さくいん┴作者さくいん┴さし絵 柴田美佳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
136
大岡信さんの選による、さまざまな歌人たちによる和歌・俳句の作品が1頁から2頁ごとに掲載されていて若干の解説などが書かれています。この表題になっている章には万葉集からの作品が収められていて、その後に古今・新古今、中世、江戸、明治以降という順番になっています。大岡さんは「折々の歌」を書かれていたのでこのような本はお手の物のような気がしました。岩波の少年文庫にこのような本があるといいですね。2016/10/05
新地学@児童書病発動中
119
詩人の大岡信氏による和歌と俳句のアンソロジー。古今和歌集の和歌など他の本で読んだ歌も多かったが、このような選集の中で読むと、新しい魅力に気づくことがあった。一つの作品が他の作品と響きあって、言葉の新たなタペストリーを作りだす。「天の海に雲の波立ち月の船星の林に漕ぎ隠る見ゆ」初めて読んだ柿本人麻呂のこの歌が一番の好みだった。口ずさんでいると、体の底から力が漲ってくるような力強さがある。月の船が大空の海に漕ぎ出していく。素晴らしい着想だと思う。このおおらかさがたまらなく好きだ。2018/08/27
たつや
48
10日くらいかけて、ちまちま読了。百人くらいの有名な方々の句が納められています。私でさえ知っている句は、ごくわずかで、いくつかは、音読すると、何となく胸に響き、左のページの解説を読んで納得。大江千里とはミュージシャン?のと思ったら違いました。アホだ自分。2017/03/05
クラムボン
20
小中学生のための詞華集(アンソロジー)。大岡信が多くの人々に口ずさまれ、愛唱され、朗読されてきた詩歌を5つの時代に分けて紹介する。まずは『万葉集』続いて『古今集・新古今集』『中世の詩歌』『江戸の詩歌』最後は『明治以降の詩歌』。先日読んだ丸谷才一の「日本文学史早わかり」の時代区分との違いが気になった。丸谷も五つの時代に分けた。違いは二点。応仁の乱を勅撰集の時代の終焉と考え、明治も後半まで江戸文芸の残り香とした。なまじ付け焼刃で文学史を齧ったため、小難しく考えてしまったようだ。これは小中学生の本でした…。2022/05/08
moonanddai
11
頭が散文なので、「天の海に 雲の波立ち 月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ」は恥ずかしながら知らなかったのですが、ロマンチックですね。山口百恵の歌かと思ったら、人麻呂だったんですね。色々楽しませてもらいました。笠女郎は「(四天王に踏みつけられている)餓鬼を拝むみたいだ」なんて、家持を怒っているし、海鼠が海月に愚痴を言ってるところなんか、おかしい。気に入ったのが(たくさんあるのですが、そのうち)一茶の「春風や鼠のなめる隅田川」。出てくるのが鼠なのに、何故か風景が大きい。図書館本ですが、買ってもいいかも…。2019/10/07