内容説明
フィンランドの民族的叙事詩『カレワラ』──天地創造からはじまるこの神話の世界では,歌をうたい事物を自由に変形させる呪術の力で,永遠の賢人ワイナミョイネンをはじめ多くの英雄たちが活躍します.美しい詩をところどころに活かしながら,全編を読みやすい物語に仕立てました.
目次
カレワラ物語 フィンランドの神々┴┴第1章 天地創造┴第2章 ヨウカハイネンと妹のアイノ┴第3章 ポホヨラでのワイナミョイネン┴第4章 サンポの鍛造┴第5章 レンミンカイネンの冒険┴第6章 呪文を求めて┴第7章 ポホヨラでの求愛競争┴第8章 ポホヨラの婚礼┴第9章 レンミンカイネンのポホヨラ宴会旅行┴第10章 クッレルボ┴第11章 黄金の花嫁┴第12章 かますのカンテレ┴第13章 サンポの争奪戦┴第14章 白樺のカンテレ┴第15章 疫 病┴第16章 熊 祭┴第17章 月と太陽の誘拐┴第18章 マリヤッタの息子┴《カレワラに出てくる人名と地名》┴訳者あとがき┴さし絵 川島健太郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんすけ
20
叙事詩として謡われていると気づかないが、活字にすると人間臭さが観えてくる。 神話の人間臭さを改めて感じている。人間が作ったものだと云えばそれまでだが、新約聖書に観られるように時代を経ると人間臭さは減ってしまう。 ワイナミョイネンは爺さんのくせに少女が好きでゲーテやアブラハムを思い起こさせる。 レンミンカイネンは血気盛んで美女を妻にした後も美女を求める。 それが男の本性だとはいえようが、これでは女は浮かばれない。 女の手で書かれた神話があれば、逆転するのだろうか。2022/02/15
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
20
フィンランドの民族叙事詩。上下巻編もあるようだけれど、こちらの1冊にまとまったものから読んでみた。魔法や吟遊詩人、精霊などファンタジー色が強いと感じました。日本で言う古事記のような感じでしょうか?古事記よりも(フィンランドでは)浸透していて、現代にも印象を与えているのだと思います。登場人物や地名も載っていましたので照らし合わせないと頭がこんがらがってしまいました。2020/10/04
ひと
15
アテネウム美術館でガレン=カレラのカレワラ関連作品を鑑賞するための予習として。口伝されていたフィンランドの叙事詩を医師のエリアス・リョンロートがまとめて『カレワラ』として1835年に出版したのが元になっているとのこと。伝承はいつからされてきたものなのだろう? 神話とのことで、他の地域で見られるようなエピソードも散見され、神話が持つ普遍性を感じます。男女関係や暴力による権力闘争、死への恐れは人間と切り離すことのできないテーマなのでしょうね。これらの物語が絵画としてどのように表現されているのか楽しみです。2025/12/07
のれん
12
北欧と日本では一括りにされているが、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーとはまったく違う文化を持つフィンランド。 個人的には日本で言う日本書紀と平家物語ぐらいをミックスしたようなフィンランド文化の中心作品が今作に当たるように思える。 世界を創世した直系なのにいつの間にか偉大な賢人レベルになるのは北欧神話に似ているが、少々抜けてる老いた詩人、真面目で純な鍛治師、母ちゃんが強いイケメン戦士と中々にバリエーション豊富なキャラが主役をして集合するオムニバス形式には韻だけでない構成力がある叙事詩だと感じる。2021/11/10
おだまん
11
#岩波少年文庫100冊マラソン(5) 少年文庫にカレワラが入っていました。難しめの印象の神話ですが、とても読みやすくて物語の筋を知るにはぴったりかも。もちろんBGMはシベリウスの「レンミンカイネン組曲」と「クレルヴォ交響曲」で。2025/03/20




