岩波少年文庫<br> きつねのライネケ

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岩波少年文庫
きつねのライネケ

  • ISBN:9784001141443

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内容説明

ヨーロッパに古くから伝わる物語.ライオン王ノーベルの治める森では,狼,くま,ねこ,にわとり,うさぎと,あらゆる動物たちが,悪がしこいライネケにひどい目にあわされている.言葉たくみに王をだまし,死刑をのがれたライネケは…….ゲーテが叙事詩の形で再話したものを,児童向けに編訳.

目次

きつねのライネケ┴目 次┴Ⅰ┴Ⅱ┴Ⅲ┴Ⅳ┴Ⅴ┴Ⅵ┴Ⅶ┴Ⅷ┴Ⅸ┴Ⅹ┴ ┴ ┴訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

102
文豪ゲーテが書いた詩を、読みやすいように散文の形にした本。きつねのライネケはとんでもない動物で、悪行を重ねる。王様のライオンは激怒して、ライネケを厳しく罰しようとするが、ライネケの舌先三寸に丸め込まれてしまう。ゲーテの真意を見極めるのが難しかった。ライネケはどう考えても悪と言える存在だ。それでも罰せられることはない。善と悪という単純な二元論を風刺するために、ゲーテはこの作品を書いたのではないか、と思った。悪を根絶しようとする態度が、悲劇を起こすこともあるのだ。2017/08/22

9
ゲーテ作。きつねのライネケ(本名ラインハルト)が盗む、だます、殺すと悪事三昧をおこない、周りから憎まれているけれども、最後まで懲らしめられることもなく出世しちゃう話。決してすっきりはしない。目先に欲につられ意見がころころ変わる王様、王様には権力があるから手を汚す(殺す)ことなく食べられるというライネケの意見には一理あり、そのあたりのリアルさが面白い。擬人化されているけども食べる食べられるの力関係は残っていて、緊張感はあるはずなのに無防備なウサギには驚く。そりゃ食べられちゃうって( ゚Д゚)2018/05/04

読書日記

5
個人的に天才だと思う作家、ゲーテの小説ということで。ファウストと同じく、ゲーテが一から考えた話でなくて、元々語り継がれてきた動物叙事詩とのこと。狐の甥が狸だったり、鳥と肉食獣が一緒に暮らしてたり、人間も出てくる、児童書らしいよく分からない世界観のパターン。とにかく皆食いしん坊だったり欲張りだったり、ライネケだけが悪いとはいえずどっちもどっち。子供向けなのに、結局勧善懲悪でもなく、上手く立ち回った方が勝つというなんの教訓もない話。正直に生きてる人にとっては救いがない。絶望的。2023/08/03

松尾 霙

2
こんな人はいつの世もどこにもいるもんだって言われると思い当たるふしがあるけれど、自分をかえりみてしまう癖が出る。人ごとと思えずに捉えるとそら恐ろしいお話。 キツネの悪業がこんなにまで見過ごされていくなんて本当に恐ろしい。 訴えでる勇気だけでなく、知恵も使わないと人間の悪業は止めることができないな。 世間ではいい人、聖人に映っても、身近で接してみると実はね……というのは本当によくある。 また、考えすぎると何が正義で悪かわからなくなる。 これは、昔から私の中のテーマかもしれない。2016/10/18

かずら

2
ドイツの民衆に伝わる叙事詩「ライネケ狐」をゲーテが翻案したもの、を子ども向けに編集しなおしたもの。とにかく主人公、ライネケがひどすぎます。何度も相手を裏切り、騙し、ひどい目に合わせる悪役。なのにライネケは、いつも弁舌を尽くして逃げ切ってしまいます。理不尽な話なのですが、悪行のかぎりの展開には謎の疾走感があって面白いです。人間の心の奥底に眠っている犯罪願望を刺激する本だと思いました。いろいろ宗教的・風俗的制約が多かった中世の人々は、こういう本を読んでうさを晴らしたのかもしれません。憎まれっ子世にはばかる。2015/01/07

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