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内容説明
この資本主義社会を倫理的に生きることは可能か?
《愛し、赦し、共に生きるための「究極のリベラルアーツ」。7人の学生と神学教授が、12の対話の果てに見つけたものとは? ―― 国際基督教大学の必須教養科目を書籍化》
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
100
ICUで「キリスト教概論」を教える魯教授による一冊。教授と学生の対話形式で、人権、創造信仰、赦し、信仰義認、自然科学、神義論、祈り、環境倫理などが議論される。カテキズムかと思って読み始めたが、これは教理解説ではなく、キリスト教的な思想を踏まえて、社会制度の「なぜ」を考えることに意義がある。人権は発明か発見か、絶対平和主義か正戦論か、資本主義の人間観は虚構かなど、テーマは重要かつ本質的。多人数の対話形式の弊害で、議論が散漫になるのが残念だが、でも、学生たちに知的な刺激を与えるこの講義は、とてもいいと思う。2021/12/16
ころりん
3
ICUのゼミに参加しちゃう読書。 教授の聖書・歴史・思想史・現代諸問題の理解の広いこと、深いこと! 「赦し」「傷」「戦争」、キリスト教「紹介」というより、ぶつけられる「問い」を切り口に、キリスト教って何だ?が深められます。 個人的には、「赦されて初めて罪がわかる」という発言(143頁)が、一番の贈り物だった。 映画「シークレットサンシャイン」や、絵本『たいせつなきみ』も引用されて、やっぱどっちも必見。 聖書の根本精神を「共存・共生」と信じ切る教授のスタンスは、異論もあるだろうけど、僕は深く共鳴しちゃいます2022/02/11
Go Extreme
2
1人の犠牲でみんなが幸せになれるとしたら なぜ、すべての人間は等しく尊厳を持つのか 「この世界のいま」「私たちのいま」はなぜあるのか 耐えがたい絶望のなかで、なぜ生きなければならないのか 被害を受けたとき、あなたは加害者を許せるか あなたの人生の「傷」、そして「使命」とは何か この世界に、正当な暴力や戦争はあるのか 科学が事実を語るとき、神は何を語るのか なぜ、この世界に悪が存在するのか この理不尽な世界で「なぜ」と問う 競争社会で出し抜かずに生きることはできるのか 私たちは動物や自然をアガペーできるのか2021/08/30
えだ
1
ほぼ全くキリスト教の考え方を学んできていない私が読んでみました。これからSDGsに取り組んでいくにあたり、「目的主体を動物を含む自然に拡張する必要がある」という考え方に同意。そもそも我々は広義の意味で利己的(=自己愛に満ちている)であるという前提の下で、目的主体つまり己(自意識)を拡張することが究極的には利他主義となりうると思う。今回目的主体の拡張アプローチについて、少なくともキリスト教信者に対しては聖書の解釈を広めることに効果があるのかな?少なくとも日本社会に対してどのアプローチが効果的か考えたい。2023/07/09