心がめあて

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心がめあて

  • 著者名:鈴木晴香
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 左右社(2021/08発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784865280388

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内容説明

掴めないはずの感覚を捉えた瞬間の心地良さ。
それが集積して立ち上がる日常をとても愛おしく感じました。―又吉直樹

第一歌集『夜にあやまってくれ』で鮮烈なデビューを果たした著者、待望の第二歌集。
わたしとあなた。心と躰。
繋がっては離れ、私たちは、世界をひらく鍵を探しつづけている。
2016年以降に詠まれた短歌のうち、『短歌ください』掲載作を含む297首を収録。

思い出は増えるというより重なってどのドアもどの鍵でも開く

生体認証。指紋や眼球や顔が暗号になるように、歌を作ることで入れる世界がある。歌を詠み、歌に詠まれた心身は、そこでは鍵の役目を果たしてきた。自らの欠片を差し出すことで、ドアをこじ開けてきたのだ。でも、少し醒めた時には、こんな風にも考えてしまう。はたして、世界は世界の方で、そんなわたしの押し付けがましい断片を望んでいるのだろうか、と。
心許なく、世界に問いかける。わたしのなにがめあてですか? この歌集におさめた歌は、そんな世界との相聞の苦闘の跡だ。
──「あとがき」より

〈収録短歌より〉
白ければ雪、透明なら雨と呼ぶ わからなければそれは涙だ
君は手の銀貨を天然水に変えその水はすぐ人間になる
文字のない世界に降っていた雪よこれからつく嘘にフォントあれ
またここにふたりで来ようと言うときのここというのは、時間のこと
ライターのどこかに炎は隠されて君は何回でも見つけ出す

目次
I
ここにいるしか
かくまう
完璧なバタフライ
書かれることのなかった手紙
メロンパンの概念の初期化
丸ノ内線ですか
ちょっと違う

II
不思議に思わない
滲み込むようにできている
雪かと思った
見たこともない色
明日には明日のニュース

III
裸より寒い
夜ごとのフルーツバスケット
別々の歩道橋から
飛び続ければ
心がめあて
偽善者になるには一日は短い
失うのとは違う

あとがき

目次

目次
I
ここにいるしか
かくまう
完璧なバタフライ
書かれることのなかった手紙
メロンパンの概念の初期化
丸ノ内線ですか
ちょっと違う

II
不思議に思わない
滲み込むようにできている
雪かと思った
見たこともない色
明日には明日のニュース

III
裸より寒い
夜ごとのフルーツバスケット
別々の歩道橋から
飛び続ければ
心がめあて
偽善者になるには一日は短い
失うのとは違う

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおにし

18
恋の歌はどれも今の私には眩し過ぎる。それより次のようなツィートっぽい歌が印象に残った。「老人の漕ぐ自転車が歩くよりはるかに遅いのに倒れない」「完璧なバタフライをしていたところライフセーバー直線で来た」2022/02/04

みーなんきー

17
どんなジャンルの本か知らずにリクエストして読みました。このかたは詩人で、それがとても心にしっくりくる現代の人向きのものでした。普段詩は読まない私ですが、飽きもせず面白く読んで、途中で何度かクスッと笑い楽しめました。詩、良いですね。他にも読んでみようかしら?2022/03/08

水色系

17
鈴木晴香さんの恋の歌が好き。「君と見たどんな景色も結局はわたしひとりが見ていたものだ」(P157)。他人同士だからこその、完全に分かりあうことのできないさみしさのようなものが詰まった一首だと思う。2022/03/06

R子

15
歌集。何気ない日々の風景を切り取っている。つぶやきを読むようにさらりと読めた。とりわけ恋の歌が良い。甘くてほんのり切ない。特に好きな3首▼言葉では足りないと言って抱きしめるそれでも足りないから声になる▼星に名を与えるようにくちづける問うためだけに問うてもよいか▼オリーブも胡麻も油になるような星でどうして君に会えない2023/12/16

ちぇけら

13
きみは片仮名と漢字で書くように好きなひととじゃなくてもするの?なんて短歌を詠んでみる。濃縮還元された夏の夜に、肺呼吸であることも忘れて君のくちびるを求めていた。暗くしてと言うにも、まだ好き?と聞くにも、君から一度離れなくてはならなくて、躰はなんて愛に不向きなのだろう。わたしから離れたくちびるで君は、また会おうとか、一生大切にするだとか、永遠を知っているみたいに言う。わたしはこのまま明日が来なければいいのに、なんて思って開かれているというのに。割れ目から夜が溢れ落ちる。TikTokには収まらない、長い夜。2023/08/27

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