内容説明
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希一へ――。父さんは精一杯、あがこうと思う。父さんが何を考えて生きていたか、そして何を伝えたかったのか、可能なだけこれから書き残す。そして、犯してしまった罪のことも――。突然の病魔に冒された父は、愛する息子へ一通の手紙を送る。そこには、過去に起きたある「悲劇」の顛末が語られていた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yunemo
33
違和感が残ったままに。前作の「青」は結果としての「青さ」、だからこそ胸にストンと落ちた感触に捉われました。本作の「青」は、「青さ」を前提とした創られた「青」、そんな感じがしてなりません。文中に、ムーラン・ド・ラ・ギャレット跡を説明している部分があって、なぜだか?ホッとする気持ちにも。父親の青春を子が理解できるのかな、との想いも残り。ただ、この事象は心の琴線に、触れますよね。同じ時代を生きた方々だけしか、理解できぬとしたら、ちょっと寂しい気に。最後の事実に、真実かどうかは不明ながら、違和感を覚えたままに。2016/07/03
Junichi Yamaguchi
30
『人間が…ずっと一緒にいれないことが多いのは、どうしてなんだろう』… 続編的な内容だと思って読み始めたが、多少のリンクがあるものの別物。 虚無と傷心… 僕はどっちを選ぶだろうか⁈ 当たり前に傷心を選んでしまいそうだ。 だだ、「優れた頭脳は世の中に面白いことを起こすためにこそ使われるべき」という考えかたを持つ街が世界のどこかにあるなら、一度訪れてみたい。。2016/11/07
sat
27
父が青春時代を記し、息子へ託した最後の手紙。青い約束ほどの衝撃はなかったが、ほどよい衝撃はあった。2017/04/20
しん
27
父から息子への最期の手紙の形で、父のフランス留学時代を描いている。『青い約束』の続編なのかと思って買ったのだけど、繋がっていなかった。自分が犯した罪と画家を目指してそれを断念した後悔が描かれている。ラストの数十ページが山場で、一気に読み終えた。読みやすい文章で、とてもわかりやすい小説だと思う。2016/12/21
かんちゃん
26
どんな景色も見る方向が変わるだけで全く別の表情を見せる。それを美しいと感じる人もいれば、哀しいと感じる人もいる。誰が正しいとか、何が真実とかは問題じゃない。苦しく耐えがたい現実も、やがて幸福への分かれ道になる。そう思えるかどうかは、過去をどうするかではなく、今に、明日に目を向け、この一瞬に幸福を見い出すことなのだろう。……著者がこの作品で書いた主題とはズレてしまうが、この物語から私が感じたのはそういうことだった。2016/05/30