内容説明
大好きだった彼が死んだ――心中だった。
みちかと太一が大学で出会った空人は、明るく誰からも好かれる人気者だった。二人は空人に密かに恋心を抱いていた。しかし、卒業から一年後。空人が死んだ。心中だった。
さらに空人の胃からは心中相手の小指が発見され、事件はマスコミにも大きく取り上げられた。空人の死がセンセーショナルに伝えられる一方、空人に想いをよせていた太一とみちかは、あまりに現実感のない事態を前にし、彼の死を受け入れられず葬儀でも涙一つ流せないでいた。
ところが、そんな二人のもとに一通の手紙が届いたことで状況は一変する。手紙には空人の字で「俺はふたりをいつまでも恨んでいるよ」と書かれていて――。
最愛の人の突然すぎる死と、悲しすぎるメッセージ。彼はなぜ、死を選んだのか。置き去りにされた二人が巡る、喪失と再生の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
momi
34
私たちの大好きな人が恋人と一緒に死んでしまった…。残された「みちか」と「太一」この二人にとって「空人」は親友であり…好きな人だった!!いつもムードメーカーの空人が何故死を選んでしまったのか…そして何故私たちに「恨んでいる…」という遺書を送りつけてきたのか!?2人は混乱します!好きだから…好きすぎて…頑張りすぎて…無理してしまったのかしら…。残された二人のことを思うと切ないのですが…親友なのに本音をさらけだせない関係って…それってどうよ!ちょっと頑張るところが違うんじゃない!?2021/08/27
信兵衛
26
でも本質的にはミステリではなく、好きだという気持ちをずっと捨てきれずにいた相手への気持ちに決着を付け、新たな出発に踏み出すまでのストーリィ、と言っていいかな。2022/01/04
くまちゃん
17
大学のサークルで知り合って親友になる三人、空人、太一、みちか。空人は容姿端麗で明るく誰からも好かれる人物で、みちかは恋をする・・そして太一も。(そうか、今はこういう三角関係もあるんだよね。)でも空人は他にアンという彼女を作った。卒業して三人は別の道を歩んで行くが、定期的に親睦をはかって良い関係が続いて行く。ある日空人が死んだと知らせが。アンとの心中だと。しかも空人の胃の中からはアンの小指が出てきたという。なぜ死んだのか、指の意味は?苦しむ二人に空人から遺書が届いた「二人を恨んでいる」と。面白かったです2022/01/07
withyuko
7
表向き空人と太一とみちかは、親友だった。ヒロインみちかが空人のお葬式に行くところからお話が始まる。太一もみちかも空人のことが好きだったので、空人の死が受けれらず、さらに空人が書いたふたりを恨んでいると書いた遺書が届き、なぜ空人が死んだかを調べ始める。いろいろな事実がわかって、失望したり、アルバイトから正社員になる話が出てきたり、大事な人が亡くなっても生きているものには時間は止まってくれなくて、心の重さを抱えつつも進まなくてはならない現実がある。ハッピーエンドではなかったけど、そういうこともあるかな。2021/12/26
うさレモン
6
タイトルに惹かれて購入。好きな人がいきなりこの世からいなくなり、その上心中とはテンション。冒頭からかなり胸が苦しくなるお話でした。最後は胸が暖かくなるラストなのかなと勝手に決めつけていましたが、ビターなお話で苦しいままでした。切ないけど読んで良かった。2021/10/21